昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/10/24

「渦潮カーブ」が投じられるたび一筋の光明が差す

 B その手が小さくテイクバックして

 唸りをあげる渦潮

 大きなカーブで 巻き込んで

 飛ぶ鳥さえも 溺れさせて

 河野代表の特徴の一つでもある、小さなテイクバック。打者はタイミングが取りづらいという。そしてひときわ目を引くのは、カーブだ。左打者が仰け反るほどに弧を描きゾーンに入ってくる。球種に詳しくない私でもわかる。これは宝だと。すでに一部では「渦潮カーブ」と呼ばれているが、河野代表の故郷・鳴門の渦潮のように、それを見るためだけに足を運ぶ人が現れる名物となり得るだろう。たとえ失点がかさんでいる試合でも、このカーブが投じられるたび一筋の光明が差す。 

 C 満ちては引いて その狭間で

 激流は生まれる

 上がって下がって 試行錯誤(トライ&エラー)で

 パシフィック制するあなたを見たい

 鋭い瞳が 全身が叫ぶ

 「決して疑わないで」

 だってあなたは戦士

 Your Name 轟かせて

 今回の執筆にあたり、鳴門の渦潮について学んだ。はなはだ簡単な説明にはなるが、世界三大潮流にも選ばれたあの激しくも美しい渦には、鳴門海峡をはさむ二つの海がそれぞれ「満潮」「干潮」という真逆の状態となり激流を生み出すことが関係しているのだという。

 2勝目を挙げた後は苦しいマウンドが続く河野代表だが、「8回126球で勝利」「1回途中4失点で降板」という真逆の結果さえ強さを生み出すための経験だと信じている。私は疑わない。それは偶然にも同じ苗字であるから、だけではない。1月の新人合同自主トレでの光景がそうさせる。その日見られたのはキャッチボールやランニングだけであったが、一挙手一投足に、全身の毛穴から湧き出る自信を感じた。指導員に「質問がある人はいるか?」と聞かれた際にも、率先して発言。そこに、高校時代からエースで在り続ける男の矜持を見た。

 シーズンを終えた時、河野代表は何と言って振り返るだろうか。何であっても私は、「球界を代表する投手」へと繋がる階段の、一段目だと捉えるだろう。同姓であることをキッカケに、素晴らしい選手の躍動をプロ入りから観られていることに感謝し、応援し続けたい。

 

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/40608 でHITボタンを押してください。

この記事の写真(1枚)

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー