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若さ!若さって何だ!? 優勝大詰め、神宮で見た巨人・戸郷翔征の134球

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/10/28

戸郷が見せた不安定で豪快で若さがほとばしる投球

 そんな訳で辿り着いた20日の神宮球場。先週末までの雨は止み、秋の空は美しいマジックアワーになっていた。

 マウンドに立つのは高卒2年目の右腕・戸郷翔征。わずか1年前、ドームで初先発見て「おっ、アーム式!!」とか呑気に言っていたのが何年前?ってくらいの伸びしろを見せてくれた今シーズン。

 後半はやや失速したが、そりゃそーだろう。まだ若干20歳の小僧なんだから。大学2年生がプロのローテで1年間働けますか?と若干ムチャな理屈で擁護したくなるのも仕方ないし(そう考えるとマジで2年目の桑田真澄は凄かった)、いい時の投げっぷりは、不動のエース菅野がヒーローインタビューで後継者指名したくなる気持ちもわかるハツラツさ。

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戸郷翔征 ©時事通信社

 しかし、この日はとにかくストライクが入らない夜だった。おいおいお前さんは野茂英雄ですか?という四球&三振のコンボが炸裂。なんとか無安打に抑えつつもあまりの球数の多さに、つい先日に畠が降ろされた場面が頭をよぎり、中盤のチャンスで打順が回って来るタイミングでは、代打~リリーフ陣奮闘~競り負けのパターンか、と諦めかけた。しかし! 戸郷はそのまま打席に立ち、次の回も腕を振り続け、5回裏のピンチも三者連続三振で切り抜けた。

 勿論、原監督としては日本シリーズ、または来シーズンを見越しての続投だっただろう。茨木のり子的に言わせりゃ「てめえの作ったピンチくらい、てめえで締めろよバカヤロウ」という、親心も働いたと思う場面であった。

 結局この日の戸郷は6裏で降板し、終盤デラロサ~大江でヤクルトの流れを止められず、田中豊の押し出しで同点ー引き分けとなり、マジックも減らなかったが、2、3年後に語る事ができる様な味わいのある試合だったと思う。

 来シーズンか再来シーズンか、先の事は誰にもわからないが、近い将来にエース菅野が巨人のユニフォームを着ている可能性は少ないと思う。いつの日か、その場所を継ぐ者として、勝っても負けてもチームの為にマウンドに立ち続ける戸郷の姿を追いかける事が出来るなら、この日神宮での134球を生で観た意義も出てくるだろう。そう思わせてくれる様な、豪快で不安定で若さがほとばしる投球であった。

 結局、この初戦で巨人のマジックは減らずに、2位の中日も勝った為に神宮での胴上げの可能性は無くなった。仕方ねえなと思いつつ、折角気合入れたんだからと翌日も神宮に行って村上に被弾し負け。22日には岡本のバックスクリーン弾も観れて快勝したが、神宮での胴上げは幻と消えた。

 果たして俺は今シーズンの胴上げを観れるのだろうか? もしかして坂本の2000本との合わせ技一本で最後に話題を持って行こうとしているのか? 胴上げ投手がまさか田中豊って事はないよな? などなど、大詰めでも考えなきゃいけない事は山ほどある。沼にハマった俺は、とりあえず来月の京セラ日程のスケジュールを調整し始めている。

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