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「金のないキモいおっさん」も支えられてほしい

 そうじゃなく、地道で目立たない人でもコミュニティで支える。わかりやすいマイノリティだけじゃなく、普通の人や普通から落ちこぼれている人も、包摂される。「金のないキモいおっさん」もちゃんと支えられていく。そういう柔らかいコミュニティ意識が今の日本には必要だし、評価経済はそういう「支え」につながっていくものでもあってほしいと思うのだ。

 私はその意味で、社会貢献系のクラウドファンディングのReadyfor(レディフォー)を個人的にとても高く評価している。Readyforはこう掲げている。「夢ややりたいこと、そのアイディア、実行能力があっても実現するための資金がない人が、利用することで、資金を集められるのが第一のメリットです」

 ただ現状のクラウドファンディングには問題点があって、それはプロジェクト単位での投資でしかないこと。つまり単発の支援はできるけれども、継続的な支援は難しい。また対象がプロジェクトで個人ではないので、個人を支えるものにはならない。

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©iStock.com

 実はVALUは、この問題点を乗り越えていける可能性を秘めている。個人を証券化することで、ひとりの個人を継続的に支援するしくみになる可能性を秘めているからだ。

VALU小川代表への質問

 VALUのYouTuber騒動が起きる直前、私はVALUの小川晃平代表を取材している。私が主宰しているLIFE MAKERSのインタビュー企画だった。

 この時に私は小川さんにこの点を質問している。

「今のVALUの動きを見ていると、結局は有名人が、自分が有名人であることを現金化してしまっているような印象がある。これに限らず最近よく言っているのは、弱肉強食の社会になって、舌先三寸なやつだけが勝っちゃうのはよくないよねっていう。たとえばそうじゃなくて、コミュ力は低いんだけど黙々と仕事をしていて、周りの人間が『あいつはやっぱり凄いよね』と言うような人に、どうやってうまくお金を還流するか、っていうのが重要じゃないかと。その議論でいくとVALUはどうなんですか?」

 この質問に対して、小川さんはその問題を認識していることを率直に認めた上で、有名人がまだ名の売れてない人を支援するというのもあるんじゃないでしょうか、と付け加えた。

 「たとえば佐々木さんが僕のVAを買ってくれて、『僕は小川を応援してます』と言ったら、それって今のスタートアップと同じような関係性になるので、別に悪いことではないと個人的には思っています」

 こういう方向も見据えてVALUが進化していくのなら、私はとても期待したいと思う。加えて、もう少し落ち着いたら私個人が自分のVALUを公開するのではなく、どこかで出会った若者のVALUに投資してみたいなと思う。