起訴・釈放を受けて一段落したかにみえる伊勢谷友介の大麻所持事件。だが、肝心の入手ルートについて口を閉ざしたまま釈放を勝ち取ったのは、最近の芸能人の薬物事件ではかなりレアケースだ。歌手のASKAなどは入手先についても「自供」したうえで釈放を勝ち取ってきたようにもみえるが、果たして釈放の判断を下した当局は何に忖度したのか。

保釈され、警視庁東京湾岸署を出る伊勢谷友介被告(9月30日夜、東京都江東区) ©時事通信社

 9月30日夜、警視庁東京湾岸署を出る釈放後の伊勢谷友介被告に大量のフラッシュが焚かれた。もはや見慣れた光景といっていいだろう。思いつくだけでもピエール瀧(コカイン使用の罪で有罪)、ASKA(覚醒剤など使用の罪で有罪)など。報道陣が撮影しやすい位置にわざわざ歩を進め、頭をゆっくり下げる所作まで同じだ。

 車両に乗る直前にユーチューバーが駆け寄って警察に連行されたところだけは従前と違って時代の変遷を感じさせたが、その後、報道が沈静化するところも過去のパターンを辿っているようにもみえる。

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2014年3月、「日本アカデミー賞」授賞式 ©文藝春秋

留置場にいて、身体拘束を受けるなかで

《私は無責任極まりない甘さで、自分をそして自分と一緒に活動してくれている方々を、さらに世間の皆様を裏切ってしまったことを今、留置場にいて、身体拘束を受けるなかで、噛み締めています。すべては私自身の奢り、未熟さや愚かさ、役者、及び経営者としての責任感の欠如により引き起こした事態です》

 釈放にあわせて発表された本人の直筆メッセージもある程度共感を呼び、沈静化に貢献したようだ。

 後は公判まで報道も小休止、というところだろうか。「そもそも伊勢谷友介は沢尻やASKAほどお茶の間に近くなく、報道もそこまで盛り上がらなかった」。警視庁担当記者はそう述懐する。

伊勢谷友介被告直筆の謝罪文

 だが、ピエール瀧やASKAとの違いはもう一つある。伊勢谷被告は大麻の所持については認めていても、入手ルートについては一貫して黙秘しているのだ。