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“新宿の薬局”を壊滅させた「ASKA供述」の破壊力

 ピエール瀧もASKAも、沢尻エリカ(MDMAなど使用の罪で有罪)も、逮捕後は入手ルートについても当局に打ち明け、実際、入手先と疑われた先も逮捕されるなどしている。

 特に圧巻だったのはASKAの捜査だろう。ASKAが2014年5月に逮捕されると、同年9月、警視庁がASKAの入手先の一つとされた指定暴力団住吉会の3次団体「大昇会」を家宅捜索。15年6月までに組幹部ら20人以上を逮捕し、組織を壊滅的状態にまで追い込んだ。

2018年、映画「猫は抱くもの」完成披露試写会の舞台あいさつに登壇した沢尻エリカ被告 ©時事通信社
ASKA(2019年1月、台北でのコンサートで) ©時事通信社

「大昇会」はただの3次団体ではない。上部団体は住吉会で「最強」とされる幸平一家。新宿・歌舞伎町に拠点を構え、「薬物なら何でもいつでも供給できた」(捜査関係者)。「新宿の薬局」とも呼ばれ、薬物関係者では知らぬものがいない一大供給拠点となっていた。19年にはそのトップも逮捕された。ASKAの供述がそのきっかけのひとつとなったわけだ。

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暴力団捜査につながるからこそ黙秘した?

 常習者となっていたASKAの入手ルートは一つに限らない。15年には日本最大の指定暴力団山口組のなかでも最大の2次団体「弘道会」の傘下組織の組員もASKAへの覚醒剤供給に関与したとして逮捕されている。

 山口組、住吉会という2大暴力団の、それぞれ最大の2次団体の捜査につながったASKAの供述の破壊力は相当なものだ。

住吉会の2次団体幸平一家の本部事務所に家宅捜索に入る警視庁の捜査員(2020年3月3日、東京都板橋区) ©共同通信社

 それにひきかえ、伊勢谷被告は……といいたいところだが、逆に入手ルートの供述が暴力団の捜査につながるからこそ、伊勢谷被告は供述を控えているとも考えられる。