1ページ目から読む
3/3ページ目
コロナ専門家会議も、あっという間に廃止に
「学者の先生方の中には自民党政権に批判的な意見を持った人たちも決して少なくありません。ただ、反対意見にも耳を傾けるというのが、タカ派とハト派が共存してきた自民党政治の許容範囲の広さであり、懐の深さだったはずです。しかし、『安倍一強』の時代を通じて行われてきた政治は、こうした古き良き時代の自民党政治とは一線を画した独善的なものでした。その典型が安保法制であり、テロ等準備罪であり、検事長の定年延長だったわけです。
それを継承する菅政権は、政府が科学技術の振興について諮問するための組織である日本学術会議までも、イエスマンで固めようとしているわけです。批判的な意見を持つ学者を初めから排除することで、諮問に対して耳に心地良い答申しかできない組織にしようとしているのです。
政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の下に設置されていた専門家会議が6月に突如、廃止された問題では、経済回復を重視する政府の方針に医学者の立場から異議を唱える専門家会議を嫌って廃止が決定したと言われています。日本学術会議が、この専門家会議のようにならないよう、菅首相は6人の任命を拒否したのです」(同前)
政権発足から1カ月も経たないうちに見えてきた菅首相の強権的な政治手法は、果たして国民の支持を得ることができるのか。その審判は次の衆院選で下されることになろう。