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「自分は何に向かって練習しているのだろう?」 コロナ禍に翻弄された1年で早大駅伝主将が考えたこと

「自分は何に向かって練習しているのだろう?」 コロナ禍に翻弄された1年で早大駅伝主将が考えたこと

早稲田大学競走部インタビュー#1

2020/10/15
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「自己中心的な発言になりますが、正直言えば最初は『なんで今年に限って……』という気持ちもありました。大学4年間という限られた時間のうちの1年というのは、すごく重いものだと思うんですよ。大人になって60年あるとして、その4分の1は15年間ですよね。もちろん単純な比較はできませんけど、陸上競技に打ち込む大学4年間のうちの1年間というのはそれくらい重たい1年間なんじゃないでしょうか。もちろん『箱根駅伝、本当にできるの?』という声が上がるのも当然のことだと思いますし、正直、僕らにはその判断はできません。正解なんてないんだと思います。結果的に次の小さな記録会が自分の引退レースになることだって可能性としてはあります。だからこそ、いまは目の前の1個1個の試合を大事にしていきたいです」

 このような状況下だけに、4年生は突如として引退レースを迎えることもありうるのだ。

©文藝春秋

予期しない競技会が引退レースになる可能性も

 大学で競技に区切りを付ける吉田は、「未練があるとすれば、3000m障害ですかね」と漏らす。トラック種目で得意としていた3000m障害の引退レースが、9月の日本インカレだったかもしれないからだ。

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 この試合に吉田は、万全な状態で臨めなかった。故障の影響もあり、9位に終わり惜しくも入賞を逃した。12月4日には日本選手権も行われ、そこに出場するチャンスもあるが、1カ月後に迫る箱根駅伝を考慮すると出場するかは微妙だという。

「日本選手権には出たいなとは思いますが、出場するとしても練習の一環としてで、あまり調整はしないで出ることになると思います。個人で結果を残したいという気持ちもありますが、それ以上にチームの結果を求めたい。両方を天秤にかけないといけない状況になるんだったら、チームを優先して、箱根メインで考えていきたいと思っています」

©文藝春秋

 コロナに翻弄され続けた1年だった。得意としていたトラック種目も、満足する結果では終われなかった。

 だからこそ、箱根駅伝の舞台で花道を飾るのが、吉田にとっての残された理想なのだ。あとは、それが実現できることを信じて、今はただ練習に励むだけだ。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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