昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「正気ですか?」かつての盟友が思わず杉田水脈衆院議員を問いただした瞬間

『保守とネトウヨの近現代史』より #1

2020/10/27

「同性愛の子どもは、普通に、正常に恋愛できる子どもに比べて自殺率が6倍高い」「実際シングルマザーはそんなに苦しい境遇にあるのでしょうか?」「女性はいくらでもうそをつけますから」……さまざまな差別的・女性蔑視的価値観で世間を騒がせる杉田水脈氏。国立大学を卒業後、上場企業に就職、その後公務員を経て結婚・出産を経験するなど、一見順風満帆に見えるキャリアを歩んできた彼女は、なぜ国会議員に当選した途端、極端な思想を抱くに至ったのか。

 かつては杉田の盟友としても活動していた倉山満氏による書籍『保守とネトウヨの近現代史』(扶桑社)より、彼女の問題発言の背景を紹介する。

◇◇◇

強姦も正当化した「ネトウヨ」の情緒

 当選翌年の平成30(2018)年、杉田水脈は4回の炎上騒動を起こす。

 1回目は、リベラル勢力が発信源の流行語「保育園落ちた日本死ね」に対し、杉田は「保育園に入りたい子供なんかいるのか、みんな、お母さんと一緒にいたいんだ」と反駁した。

 2回目は、「どうして反日の学者に科研費が使われるのか」と主張し、物議をかもした。

 事の是非は問わない。私は政治家杉田水脈の真意を伝える場として、『チャンネルくらら』で火消し番組を行った。それでリベラル勢力が納得などするはずがないが、とにもかくにも世間は忘れてくれた。

 ただ同じ話を、同時期に杉田が出演した、櫻井よしこ「言論テレビ」は褒めそやした。「文化人放送局」に至っては現職国会議員の出演者に酒を飲ませ、地上波ならば間違いなく放送できない暴言を吐かせるのがウリの番組である。杉田はサービス精神旺盛に答えた。結果、両番組での発言が問題視され、現在裁判継続中である。もちろん、『チャンネルくらら』での発言は訴訟の対象にはなっていない。

©iStock.com

 かくして、「ネトウヨ」に引きずられて炎上し続ける杉田を、私が『チャンネルくらら』を通じて火消しする構図が続いた。

 ただし、3回目のやらかしは突き放した。

“憎悪”の一心でレイプ疑惑の男性を庇う

 安倍御用言論人として名を馳せていた山口敬之が、ジャーナリストの伊藤詩織への準強姦をしでかしたとして問題となった。この事件は刑事では不起訴だったが、民事(一審)では事実が認定されている。この件に関し、杉田は山口を庇った。よりによって、イギリスのBBCのインタビューに答えてまで。

 過去2回の炎上は杉田の政治信条を尊重した私も、この件に関してだけは「正気ですか?」と問いただした。杉田の答えは、「選挙の時にお世話になったので……」と語尾を濁した。長い付き合いなので、わかる。いくら政権要人に近づいているとはいえ、一介のジャーナリストに過ぎない山口が、杉田の自民党公認獲得に決定的な役割を果たせるわけがない。では、杉田は何故、そこまで山口を庇うのか? 多くの可能性を考えたが、結論は一つしかない。伊藤詩織への憎悪だ。