「同性愛の子どもは、普通に、正常に恋愛できる子どもに比べて自殺率が6倍高い」「実際シングルマザーはそんなに苦しい境遇にあるのでしょうか?」「女性はいくらでもうそをつけますから」……さまざまな差別的・女性蔑視的価値観で世間を騒がせることの多い杉田水脈氏。なかでもLGBTに対する批判的な発言は世界中から糾弾される事態を招いた。NHKまでもが“差別者”として杉田を報道する中で彼女は何を考えたのか。

保守とネトウヨの近現代史』(扶桑社)より、かつては杉田の盟友として活動していた著者が、その真相を語る。

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「ネトウヨ」は世界中を敵に回すアブナイ人たち

 平成30(2018)年7月、杉田は『新潮45』八月号に「LGBTには生産性がない」との論稿を寄せ、世界中を驚愕させる大騒動となった。

 レズ・ゲイ・バイ・トランスジェンダーの、いわゆるLGBTは子供を産まないので生産性が無い。これは杉田の従来の持論である。従来のとは、チャンネル桜に出演していた時の、である。杉田が八方美人的にチャンネル桜に出演していた話は書いた。「保守」の老舗であり、「ネトウヨ」の総本山である。落選中の杉田としては、無下に敵に回せない。事実、杉田の人気を当て込んで、チャンネル桜はしつこく出演依頼を寄せていた。

事情もわからず利用された

 そのチャンネル桜はかつての仲間と敵対するや、口汚く罵るのが常套手段である。カルト集団にありがちな傾向だが、最初から敵の団体より昨日までの仲間の方が憎らしい。その中で在特会も、チャンネル桜(と言うより水島総)の攻撃対象となった。

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 ここに杉田も利用された。杉田は事情も分からず、番組で一般論として「特定の民族を敵視する言動をどう思いますか」と聞かれた。当然、否定し、「許されざるべきこと」と答える(【夜桜亭日記 #31 after】水島総が視聴者の質問に答えます!杉田水脈さんも登場![桜H28/9/3])。ところが編集により、在特会を攻撃しているかのように映された。これで杉田は在特会の怒りを買い、集中砲火を浴びる。たまりかねた杉田は、人を辿り私に助けを求めてきた。そして、チャンネル桜と手を切ることとなる。

 だが、杉田がチャンネル桜で発言した多くの映像は、残る。これが命取りとなった。

 杉田は『新潮45』論稿で、「男女共同参画を進めるあまり、少子化が進むようでは国力が落ちるのではないか」と言いたかったのだが、通じるはずがない。「ネトウヨ」は拍手喝采だが、あまりにも世間の常識とかけ離れている。少なくとも選挙地盤が弱いどころか選挙区すらもらえていない代議士が、あえて書く内容ではない。