昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/10/29

大学1年生からマルチ商法の販売組織に所属

 実は筆者も9月に、都内の有名私大に通う22歳の大学生から、持続化給付金の不正受給の告白を受けていた。

「実は、大学生を中心に不正受給の代行を10人分ほどやってしまいまして……。僕も逮捕されますかね……」

 約3年ぶりにかかってきた電話に、筆者は相手が誰なのかすぐには分からなかった。しかし、二言三言交わすうち、かつて学生らの間で広がっていた仮想通貨関連のマルチ商法を取材していた際に話を聞いた男子学生のSだと思い出した。

©iStock.com

 当時大学1年生だった彼は、インカレ系のイベントサークルAに所属。しかしそのサークルの実態は、ICOへの投資を建前としたマルチ商法の販売組織で、サークル内は完全にピラミッド構造になっていた。サークルの幹部らは、100人以上の学生メンバーから吸い上げたカネで、都内で豪遊する姿などをSNSに盛んにアップしていた。

 同サークルで、1年生ながらかなりの勧誘実績を上げていたのが、Sだったのだ。

「あの後1年足らずで、仮想通貨ブームが去り、Aも活動停止状態になったので僕は脱退したんです。その後は、FXの自動売買ツールや情報商材への投資などのネットワークビジネスを学生をターゲットにやっていました。去年は年間300万くらい稼げたので、この道で食っていくつもりで就活もしませんでした。

仲間から「持続化給付金の不正受給が楽に儲かる」と聞いて

 ただ、コロナになると勧誘活動もいったんストップしてしまい、収入が激減した。しかし、今年の6月に、『持続化給付金の不正受給が楽に儲かる』という話をネットワークビジネスの仲間から聞いて、まず自分で申請してみた。すると簡単に100万円が手に入ったので、次は他人の不正受給の申請代理をやるようになったんです。幸い、ネットワークビジネスをやっている学生100人くらいの顧客リストがあったので、彼らにSNSで一斉に『30万円で申請代理』と送信した。すると20人くらいから反応があった。そのうち10人の申請代理をして、実際にみんな満額受給することができた。3か月で300万円儲かりました」(S)

持続化給付金の申請代行を名乗る詐欺はツイッター上にも多い

 

 Sはその後、報道で持続化給付金の不正受給の容疑で逮捕例が相次いでいることを知って不安になり、関連する著書を出版している私のところに連絡してきたというわけだ。

 3年前に会った際には「自分のオヤジみたいになりたくないから学生のうちから稼ぎたい」などと意気揚々と話していたSだったが、電話口ではずいぶんとおびえた様子だった。

 そんな彼に筆者は、自首を勧めることくらいしかできなかった。