まさにキングメーカーの面目躍如の一夜だった。 

「その日はまさに、新体制における野望を示す会でした。会合の音頭を取ったのは二階俊博幹事長(81)。彼の鶴の一声で、自民党の重鎮クラスが続々と集まったのですからまさに壮観でした」 

 こう語るのはある自民党関係者だ。 

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二階俊博幹事長 ©文藝春秋

 10月29日、築地の料亭である極秘会合が開催された。 

 同日19時30分、路地裏に位置する料亭「治作」の前に続々と黒塗りの車が集結していた。降り立ったのは極秘会合を招集した二階氏を始め、岸田文雄前政調会長(63)、細田博之元官房長官(76)、竹下亘元総務会長(74)、森山裕国対委員長(75)、山本有二元農水相(68)、中谷元元防衛相(63)、森英介元法務相(72)、衛藤征士郎(79)等の大物政治家たちだった。

 岸田派、細田派、竹下派は派閥の領袖が参加し、麻生派の森氏、石原派の森山氏、谷垣グループの中谷氏、そして石破茂会長が退任した石破派からは山本氏がと、それぞれの派閥の重鎮が名代として参加した。事実上、各派閥が総結集した一夜となったのである。 

会合が行われた高級料亭(左)

秘密会合で話し合われた2つのこと

 二階氏が招集をかけた理由は何か。前出・自民党関係者が解説する。 

「この会の発案者は自民党の憲法改正推進本部長を務める衛藤征士郎衆議院議員です。菅政権で“憲法改正”をどうするかをテーマに党内で話し合いたいと進言したといいます。『自民党として憲法改正原案を取りまとめるのが私たちの仕事である。菅総裁も「挙党態勢で取り組んでほしい」と言っている』と衛藤氏は熱く語り、二階氏も『よし、わかった』と快諾した。そして幹事長の鶴の一声で全派閥に招集をかけたのです。 会では竹下氏、岸田氏が乾杯の音頭をとり、熱い議論が交わされた。

 会合は関係者だけの極秘裏に行われ、政治部記者も会合の存在を知らなかったそうです」 

 関係者への取材を総合すると、会合で話し合われたことは主に2つ。