昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/11/10

韓国の重鎮政治家が来日

 そんな動きを見越してのことだったのだろうか。日韓間で動きが出始めている。

 8日、韓国政界の重鎮、朴智元国家情報院院長が電撃的に来日した。

 翌9日には、懇意の仲といわれる二階俊博自民党幹事長と面会。この席で、1998年に発表された「日韓共同宣言」(小渕・金大中宣言)に続く、日韓の新しい第2のパートナーシップ構想が提案されたと韓国の毎日経済新聞が報じた(11月9日)。

 2日、TBSが「韓国政府高官、来週来日で調整」と報じて、キーマンとなった朴院長の動向に注目が集まっていたが、中身はまさかの「菅・文在寅宣言」案だった。

朴智元国家情報院院長 ©時事通信社

 朴院長は韓国では「政治九段」の異名をとる重鎮政治家のひとり。故金大中元大統領の最側近として知られ、青瓦台の秘書室長などを務め、「日韓共同宣言」にも関わった。今回の来日では、二階幹事長や滝澤内閣情報室情報官と会い、「徴用工問題や輸出管理強化問題などで意見交換する」と報じられていた。

 しかし、韓国では「そうした問題を含めて、これからの日韓関係についてさらに大きなビジョン作りを目指しているのではないか」(前出記者)という見方が出ていた。大きなビジョンとは、「これからの新しい日韓パートナーシップを構築するもの」だった。

 日韓間の動きについての憶測は、実は、10月中旬、日韓議員連盟の河村建夫幹事長が訪韓し、李洛淵「共に民主党」代表や朴院長と面会した頃から流れていた。ノ・ヨンミン大統領秘書室長が秋葉剛男外務次官と「徴用工問題」について6月頃から話し合いを続けていると報じられ(東亜日報、10月30日)、さらに大きな動きがあるのではないかと各社がその真相を追っていた。

二階俊博幹事長 ©文藝春秋

 朴院長の来日の話も出ていたが、情報に触れていたというある記者は、「朴院長がいくら知日派でも、北朝鮮が専門の国家情報院院長が対日問題で動くというのがどうしてもピンとこなかった」という。

「対北送金疑惑」で逮捕された朴院長

 朴院長は、2000年に初めて行われた南北首脳会談で故金正日総書記に4億5000万ドル(約465億円)を違法送金したとして2003年、逮捕、起訴され、その後、2006年に懲役3年の実刑となり服役した過去がある。逮捕されたのは、故盧武鉉元大統領の時代。文大統領は当時、青瓦台にいた。

 政界復帰後、「共に民主党」の前身「新政治民主連合」時代に文大統領と合流したが、後に離党した。党の運営を巡り文大統領と対立したとされるが、過去の禍根も遠因としてあったのではないかといわれた。その後、安哲秀現「国民の党」代表が立ち上げた前「国民の党」に参加(後に離党)、2017年5月の大統領選挙では候補者だった文大統領を激しく非難し、ここから文大統領の宿敵とも表されていた。