“毒舌姫”金与正の連絡事務所爆破で第一線に復帰
そんな朴院長が国家情報院院長として政界の檜舞台に舞い戻ったのは今年7月。その前月に北朝鮮の金与正第一副部長が南北融和の象徴といわれた「開城南北共同連絡事務所」を爆破したことを受けて、韓国では外交安保ラインでの刷新人事が行われたが、その一人が朴院長だった。前出記者が言う。
「この大抜擢にはみな驚きました。政権交代後、朴院長は文政権に協力していて、2年前の南北首脳会談にも同行していましたが、過去の対北送金のこともあり、表舞台の要職に抜擢されるとは誰も予想していなかった。朴院長の抜擢の背景には、現在膠着している南北関係を特使を送り合う状態(2018年3月)に戻し、さらには南北首脳会談を行いたいという文大統領の強い意志があることが読み取れると囁かれもしました」
そんな朴院長の今回の来日。
現在、徴用工問題では、被告となっている日本企業の韓国内財産の現金化への手続きが進められており、10日には、元挺身隊が三菱重工業を訴えていた裁判でも同じように現金化への効力が発生している。韓国では「現金化されれば日本との関係は決定的に悪化する」と懸念が募っており、現金化を回避するような代替案が模索され始めてもいる。
日韓関係の改善は必須だと判断か
日韓関係改善に向けての動きの背景には、「米国の迷走ぶり、日韓での輸出規制問題、そして対北問題、どれをとっても日韓関係の改善は必須だと判断したのではないでしょうか」(別の中道系紙記者)。
朴院長は10日には菅義偉首相と面会し、文大統領の新書を渡す方向と伝えられ、今週後半には日韓議員連盟に所属する韓国議員が来日する予定だと報じられている。
朴院長が持った「ボッタリ(風呂敷)」の中身は、徴用工問題解決も含めて、これからの日韓関係を再構築しようという大きな試みが詰まったものだった。
しかし、問題は、その大きな試みをどれだけ詳細なものにできるか、だろう。