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我が道を全力で駆け抜ける「ルパンの娘」

 そんなフジテレビドラマの中で一つ、我が道を全力で駆け抜ける“ぶっ飛んだ”作品がある。木曜22時放送の『ルパンの娘』だ。

 10月から始まった『ルパンの娘』は、2019年7月に放送された同作のセカンドシーズンにあたる。悪人から宝を奪う“Lの一族”に生まれた三雲華と、警視庁捜査一課の刑事で警察一家に生まれた桜庭和馬。二人の禁じられた恋を描くストーリーは、現代版『ロミオとジュリエット』とも言えるだろう。視聴率合戦に苦戦している昨今の木曜22時枠の中、番組最高視聴率の9.8%で幕を閉じたことは、熱量の高いファンが最後まで付いてきた証だ。

深田恭子 ©時事通信社

想像の遥か斜め上を行く展開

 連続ドラマでは続編になった途端に減速したり、守りに入ってしまうことも珍しくはない。しかし、『ルパンの娘』は前作よりも格段にパワーアップし、確実にテンポも上がっている。

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 セカンドシーズンのメインビジュアルでは華が赤子を抱いており、華と和馬の間に子供が出来ることは何となく分かっていたものの、まさか第2話で出産し、第3話で娘・杏が早くも小学生になると誰が予想しただろうか。キャラクターの老化問題にもきちんと言及しており、どんぐり演じる祖母・マツは、第3話時点で86歳の設定である。

 今後は主人公の華だけではなく、娘の杏も自身のルーツについて悩むことになるのだろうが、引きこもりの兄・渉の婚活奮闘記や、『君の名は。』を彷彿させる華とマツの入れ替わり現象など、視聴者の想像の遥か斜め上を行く展開はこれからも続くのだろう。

深田恭子 ©時事通信社

 さて、ドラマ版『ルパンの娘』には、横関大の原作小説を大きく脚色している部分がある。例えば、原作の華は“Lの一族”屈指の盗みの才能を持ってはいるものの、家業である泥棒業には加担しない。驚くことに、一度見たら頭から離れない華の幼馴染・円城寺は、ドラマオリジナルのキャラクターだ。