昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

 試合は先発・上原の4失点以外はしっかりまとめて、5対4で終盤を迎えた。身体が芯から冷えてきて歯がカチカチ鳴るようだったが、9回、中田にもう1打席まわるかもしれない。誰か1人出ればまわるぞと思ったら、8回表、中島卓也が四球を選んだ。えらい! 目標ができてこっちも寒さに耐えられる。あたりを見まわしたがロッテファンの人はあんまり寒くないみたいなんだな。ZOZOマリン慣れしてるのか、それとも決戦を前にして幸福なのか。

2020年シーズンはコロナ禍との戦いでもあった。 ©えのきどいちろう

夢を最後まで追っかけて最終第5打席へ

 8回裏、ロッテから戦力外通告を受けた細川亨が代打。当方は歴戦の勇士にスタンディングオベーションだ。あっさり三振に終わったが、9回はマスクをかぶることになった。ファイターズの打順は2番平沼から。中田の(たぶん)最終第5打席は投手・小野郁&捕手・細川との対決になった。点差が離れてるならともかく、1点差じゃ忖度なしの真剣勝負だ。僕らは「中田二冠」の夢を最後まで追っかけて、ぺちぺちぺちぺち拍手をする。

細川選手、おつかれ様でした。寂しくなります。 ©えのきどいちろう

 それがセンターフライだった。ホームランならず。もし延長にもつれ込んでも10回までのレギュレーションでは第6打席は望めないだろう。気が抜けた。中田は4年ぶり3度目の打点王獲得、本塁打は1本差で及ばなかった。あーあ、あーあ。しかし、寒すぎるなぁこの球場。今、何月だと思って野球やってん……、

 カッキーン!!

 えええっ。大田泰示14号2ランだった。マジかマジか。スコアは7対4。9回裏は臨時クローザー、杉浦が締めた。勝った勝ったー、勝っちゃったー。勝って終わったー。でも、まわりのロッテファンはあんまり悔しそうじゃない。まぁ、この試合の勝ち負けより週末のCSだ。「帰りますか、ロッテのセレモニー見ないで」「はい、帰りますかね」と早足で球場を去る。寒さでヒザが固まってしまいカクカクした。

 球場外周のブルーのライティングを見上げながら「ロッテ1シーズンありがとなー。CSがんばれよー」とつぶやく。つぶやくのだが、寒さで口がぎこちない。例の歩道橋まできた頃は「いや、タイシじゃないでしょ!」「中田がいいのにぃ!」と軽口を言っていた。ホームラン打って文句言われたんじゃタイシもたまらんなぁ。

ロッテ1シーズンありがとう。CSがんばれよ! ©えのきどいちろう

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム クライマックスシリーズ2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/41464 でHITボタンを押してください。

この記事の写真(6枚)

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー