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 今年は、初春から新型コロナウイルスの感染が広がり、4月には全国で緊急事態宣言が出され夜の街の営業自粛が求められた。

 歌舞伎町の飲食店の従業員は次のように指摘する。

「コロナの影響で、どこも売り上げが大幅に減ったし、全くなくなった店もあった。スカウトの引き抜きは、コロナの影響の危機感から強引に行われた可能性もあるのではないでしょうか」

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武闘派ヤクザの「メンツ」つぶす

関係者に流出した歌舞伎町の「スカウト狩り」とみられる動画

 ナチュラルによる「引き抜き」が続く中、ライバルグループの不満は溜まっていった。前出の歌舞伎町の飲食店業界に詳しい関係者が語る。

「引き抜き被害に遭ったスカウトグループは、ナチュラルに抗議したが、彼らは聞き流すだけだった。そこで、トラブル解決のため、引き抜かれた側はあるところに相談を寄せた」

 この際の相談先とは、「住吉会」幸平一家加藤連合会の傘下組織だった。

 住吉会は山口組に次ぐ、国内2番目の勢力の指定暴力団として、東京都公安委員会に認定されている。中でも「幸平一家」は住吉会内の中核組織。さらに「加藤連合会」は3次団体となるが、歌舞伎町の顔役、仕切り役として知られる。

 指定暴力団幹部によると、「関東どころか、全国のヤクザで『加藤連合会』の名前を知らぬ者はいない」という。加藤連合会は過去、数々の対立抗争事件において、多くの幹部が躊躇せずに拳銃を発砲してきた経緯があり、“武闘派組織”として名が通っている。

 トラブルの原因を作ったナチュラルは、加藤連合会傘下の有力組織である「賢総業」と交流があり、スカウトを引き抜かれた会社は同じ加藤連合会傘下の「聡仁組」との関係が保たれていた。

※写真はイメージ ©iStock.com

 そこで、引き抜かれたスカウトグループは聡仁組に相談し、同組は賢総業にナチュラルによる引き抜き行為をやめさせるよう要請したという。

 その結果、手打ちに向けた会談の場が持たれることになった。

 しかし、ナチュラル側が拒否した。ナチュラルを率いるのは、通称「木山兄弟」と呼ばれる3人の実の兄弟で、業界では知られた存在。いずれも身長約190センチで体重は約100キロという巨漢。その仕事ぶりは、ヤクザ顔負けの“イケイケ”だったとされる。

 今回も、引き抜いたスカウトは戻さないうえに、引き抜き行為も止めないとして話し合いを拒否。事実上、ヤクザに楯突くことを宣言したのだ。