コロナ対策は後回し』という見出しがあった(11月7日産経新聞)。

 学術会議に固執するばかりで野党はコロナ対策については後回しなのか、という産経師匠のお叱り。

菅義偉首相 ©JMPA

《1月~6月の通常国会で野党は新型コロナウイルスの感染が広がる中、「桜を見る会」などの政権追及に固執し、支持者からも批判を浴びたが、今国会でもコロナより「学術会議」を優先する姿勢が目についた。》(同)

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 もっと大事なことをやれ、という産経の主張。

 しかし私はこんな心配もしてしまう。学術会議の件ですら説明できないなら、さらに大きい問題が起きたら説明できないのでは? と。倍返しになってしまう恐れ。

 それは今年初めもそうで、当時の政権は「桜を見る会」の説明を曖昧なままで乗り切ったように見えたがコロナ禍でフラフラになってしまった。政策決定の「過程」を国民注視の中で相次いで問われたのだ。

「説明しない」強硬姿勢が持つ危険性

 つまり、説明しないまま押し切る成功体験はむしろ政権にとって危険なのである。だからこそ学術会議の件は任命拒否の理由を答えるまで聞いてあげなければいけない。菅首相のために、国益のために。

 ここで産経師匠をフォローしておくと新聞の中で政府の対応、たとえば「Go Toキャンペーン」に対して厳しくかつ具体的に言い続けていたのは産経新聞だった。

Go Toキャンペーンで矢面に立つ機会も増えた西村経済再生担当相 ©JMPA

 11月20日の社説は『「Go To」の一部停止も』と踏み込んで訴えていた。朝日新聞は『「Go To事業」の扱いも検討事項の一つだ。』という表現にとどまっていた(11月13日)。

 社説とはいかに曖昧な表現で何か言ってるように思わせるかという芸だと私は思っているが、産経は「Go To」に関しては細かかった。