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「50センチくらいのが、じーっとこっちを…」熊を狩る猟師が語る怖すぎる体験談

漫画『山怪 弐 不死身の白鹿』(原作・田中康弘、漫画・五十嵐晃)

2020/11/26

genre : エンタメ, 読書

note

「キツネが出る」「天狗が出る」という大きな岩の上に

 マタギ発祥の地は、深い雪に閉ざされ、外界と隔絶された秋田県北部の阿仁町(現・北秋田市)。3つのマタギ集落があり、戦前まで数百人が暮らしていた。

 マタギが狩る熊の胆(い=胆のう)は乾燥させると4分の1の大きさになり、煎じて飲めば万病に効く、漢方薬の最高級品として知られる。猟期を終えるとマタギ達は熊の胆を持って各地へ行商に出かけ、そのまま住みつくこともあった。

 前出の秋山郷も、江戸末期から明治期にかけて阿仁マタギが住みついた集落である。

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 50年ほど前、夫婦が農作業のために山へ入り、気付くとその辺で遊んでいた4歳の一人娘が消えていた。名前を呼んでも、探しても見つからず、集落は大騒ぎになった。日が暮れて皆が焦り始めた時に見つかった。

 奥山への入り口、「キツネが出る」「天狗が出る」と言われてきた大きな岩の上に座り、笑っていた。4歳の子供が登ることは不可能な大岩の上で。

(「狐と神隠し」より)

©五十嵐晃/田中康弘/リイド社

50~60センチぐらいのそれが、こっちをじーっと見ていた

 地元の山を知り尽くした丹波猟師(兵庫県)の女性は、不思議な空間に迷い込み、不思議な体験をする。

 軽トラックで暗い山道を下っていたある日、小人に遭遇した。

「五~六十センチくらいでしたね。それがこっちをじーっと見てるんですわ」

 数秒なのか、数分なのか分からなかった。小人は睨めっこに飽きたのか、ぴょいと姿を消した。

©五十嵐晃/田中康弘/リイド社

 この話を誰も信じてくれなかった。悔しくなり、車の助手席にカメラを置くようになった。しばらく現れなかった小人が、ある夜現れた。慌てて外に出ようとした瞬間、姿は消えた。その日を最後に、小人が現れることはなくなった。

(「謎の小人」より)