純粋に競技に打ち込んでいるアスリートが、性的な視線にさらされ、嫌がらせを受ける。胸や下半身をクローズアップした写真をネットで拡散されるのはざらで、時には自分の写真に体液をかけたような画像を送りつけられることも。SNSの普及で、被害は今や中高生にまで及ぶという。

 事態を重く見た、JOC(公益財団法⼈⽇本オリンピック委員会)をはじめとするスポーツ関連団体も、「アスリートへの写真・動画による性的ハラスメント防止の取り組みについて」という文書を発表し、性的目的のSNS投稿やWEB掲載の情報提供を求める報告フォームをHPに設置するなど、本格的な対策に乗り出した。

©️iStock.com ※写真はイメージです

 この動きのきっかけとなったのが、20代の女子陸上選手、ハナさんとカオルさん(いずれも仮名)が今夏、日本陸上競技連盟(陸連)に相談を寄せたことだ。2人ともツイッターのアカウントを持ち、性的な画像を送られるなどの被害に遭ってきた。2人に性的被害の実態や撲滅への思いを聞いた。(全2回の1回目。後編を読む)

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ツイッターのダイレクトメッセージで性的な画像

――おふたりはこれまで、どのような被害を受けてきたのでしょうか。

ハナ 大学生の時に、目の前の観客席に座っていた人が、私のおしりをどアップで写していて、そういう人もいるんだと知りました。年々、性的な言葉を書かれてネットに載せられている自分の写真を目にすることが増えたり、性的な画像をツイッターのダイレクトメッセージ(DM)で送られたりっていうのがありました。

カオル 私も同じように、写真にひわいな言葉を付けてアップされていたり、直接DMで、男性の局部の写真が送られてきたりしました。あとは、私の写真に体液を出してる画像を送ってくることもありましたね。

――体液って、写真を印刷したものにかけているんですか?

ハナ それは私です。

©️iStock.com ※写真はイメージです

カオル 私の場合は、携帯の画面に自分の写真が写っていて、そこにかけていました。

――DMだと、警戒していても見てしまう。

カオル 普段やりとりをしていない人だと、画像を開いてみるまで何が送られてきたのか分からなくて。純粋に応援してくれて、“私の名前を書道で書きました”といった画像を送ってくれる方もいます。その違いが分からないので、開いてみるしかないんです。ただ、画像を送ってくる人はだいたい警戒して見ます。

ハナ 私はフォローされたら、どういう人か気になるので、その人のページを一回見に行くんです。けれど、結構怪しい雰囲気の名前の人のページを見に行ったら、一番上に私の写真に体液をかけてる画像が載っていて、見てしまいました。うわぁ……と不快に思いました。