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「スポーツはもっとフェアな世界でしょ。成績で決まるのがスポーツの魅力なんですから。なんでろくに成績も出していないのにあんなに取り上げるんですか? 羽生君は、しっかり結果を出して注目されてきたんですよ」

 羽生ファンの意見だけでは不公平だ。高橋ファンも、関係者の中にはいまだに多い。

「先駆者へのリスペクトがないですよね、“あの選手”のファンには。いろいろな選手が頑張って道を作ってきたんです。そして大ちゃんが成績を出して注目されることでフィギュアスケートの地位を高めた。“あの選手”のファンは、そういう歴史への理解が欠けているんですよ」

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 羽生の名前が、まるで口にしてはいけない呪文であるかのように語る。

羽生結弦 ©Getty Images

「どちらかを褒めようものなら、逆のファンから叩かれる」

 ファン同士の敵意がエスカレートしていくことは、フィギュアスケート界にとって明らかにマイナスで、実際に影響さえ出ている。とある元日本代表選手も、匿名を条件に語る。

「どちらかを褒めようものなら、逆のファンから叩かれる。そういう構図、うんざりです。当の選手同士はお互いをリスペクトする姿勢を持っています。心の内側で何を考えているかはともかく、表面上は2人とも互いを尊重する姿勢を徹底しています。それをファンの方たちも知ってほしいですね」

 しかし年末12月25日から始まる全日本選手権には羽生、高橋ともにエントリーしており、2人の戦いはまだ続きそうだ。レジェンド2人の存在は大会を盛り上げるはずだが、先のスポーツ紙記者は渋い顔を見せる。

「あのバトルがまた繰り広げられるかと思うとね……。どんな風に報道してもバッシングされるので、フィギュアの記事を担当するのは精神的にキツイという声はよく聞きます。よく言えば熱心なファンなんでしょうけど、カルトっぽく感じることも正直ありますよ」

 リンク外での乱闘再び、となるのかどうか。思いがけないところで、注目を集める大会になりそうだ。