かの「ナッツリターン姫」が”正義”になりうるかもしれない。韓国でまさかの展開が起きている。

機内で提供されたナッツに激怒

「ナッツリターン姫」とは、大韓航空創業2代目の長女であるチョ・ヒョナ氏のこと。大韓航空副社長だった2014年12月、自社フライト搭乗直後に提供されたナッツがマニュアル通りに出てこなかったことに激怒した。機内でCAに土下座を要求。のみならず滑走路まで出ていた機体(もちろん他の乗客もいた)をターミナルまで戻させる暴挙に出て、航空保安法違反で逮捕された。

 近年の韓国社会で最も忌み嫌われる「甲質(カプチル=既得権益層のパワハラ)」で総スカンを食らった存在だ。

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 彼女がいま、国を揺るがす「大韓航空・アシアナ統合話」のキープレーヤーになろうとしているのだ。

謝罪する「ナッツリターン姫」ことチョ・ヒョナ氏 ©AFLO

韓国航空業界2位のアシアナ 業績悪化で「待ったなし」

 統合話は11月16日に報じられ、韓国内を騒然とさせている。日本でも新型コロナ禍で「ANA―JAL合併ありうるか?」などと報じられたが、韓国では航空業界1位、2位のまさかの統合が現実になろうとしているのだ。

「衝撃のビッグニュース。財界にとっても寝耳に水、というところです。11月12日くらいから『統合協議中』という話が漏れてきて、まさかという雰囲気だったところ、16日に『決定』だという。これが、国民から大ブーイングなんですよ。メディアでも肯定的に報じたのは『中央日報』が『世界7位の航空会社誕生』とした程度で、あとは保革問わず批判的な論調です」(韓国一般紙の元デスク)

 業界2位のアシアナをどう救うのか。この点から今回の統合話は始まった。88年設立の同社は、母体企業の経営多角化の失敗、新型コロナ禍による業績悪化で「待ったなし」の状態だ。 今年1~3月期の連結決算で営業損益2082億ウォン(約181億円)の赤字だった。

 2019年末から10ヶ月に渡りHDC(現代産業開発)による買収協議を行ってきたが、最後の最後に「コロナ禍での状況が不透明」という事情でHDC側がキャンセルをする憂き目に。