「新株発行の停止」を求める仮処分を申請。結果は……
これを盾に、今回の統合話で裁判所に対し「新株発行の停止」を求める仮処分申請を出した。11月25日から12月1日にかけて議論されたうえ、出た結果は、この段階では結局「敗戦」、つまり「統合やむなし」ということになったが、かなり激しい仕掛けを見せた。
「韓国の証券業界で『企業支配のスペシャリスト』と言われるカン・ソンブ氏を立て、連合を組んで申立を行いました。カン氏側は『姉弟対決』という見られ方は望まない、としながらも彼女の側の代表として激しい内容で現経営者の弟側を攻撃したのです」(同前)
こういった具合だ。
「今回の産業銀行と大韓航空の契約は、チョ会長の経営権防御と、産業銀行の放漫な公的執行が結合した深刻な事態」
証券業界で“天才”と言われる弟の読み
かつては姉にキレ、母に八つ当たりした弟側は、今回は裁判所以外での発言は慎んでいる。黙っていれば勝ち。そんな読みがあるのか――。
「今回の統合話、産業銀行による大韓航空への増資というかたちで行われます。新たに発行される株は、産業銀行のものになる。当然、産業銀行は一緒に話を進めてきていた現代表たる弟側に付きます。そうなると、姫の持つ数パーセントの差など吹っ飛んでしまうんですよ。弟はこれを分かってやっていたのでしょう。証券業界では“彼は天才”とも言われていますね」(同前)
未曾有の統合劇は、いったいどうなれば成立で、どうなれば決裂か、韓国内でも情報が錯綜している。11月29日、国内メディアは一斉に「国際企業たる航空会社の統合にはアメリカ・EU・中国・日本での審査が必要」と報じた。
「中央日報」は姫派のカン氏が「最近他社の持ち株を現金化し、多額のキャッシュを準備した」と報じた。同紙はこれでさらに大韓航空株の買い占め率を高めるのであれば、弟に対抗する”実弾”だと生々しく報じる。
「ナッツリターン姫」のアクションは、「正義」となれるか、はたまた「再び経営陣にのし上がるエゴ」で終わるだろうか――。