瞬く間にテレビ業界に浸透した演出
「そうなの。ふーん。その方が見ている方は面白いと思うのね、だったらヨロシイわ。
そういうことって、あたくしシロートだから、わからないから、ちゃんと言ってね」
この一言で、その手先生から白紙委任状を受けたも同然の俺たちは、白豪主義政権を樹立し即座に関白宣言! 「その子ライト」の全面解禁をスタッフ諸君に高らかに言い渡した。
そして、驚くべきは、先生のテレビ出演に際しては他のバラエティー番組でもまるで約束事のように、この手法が定番の演出として定着していった。
やがてこの「その子ライト」は、あの天才発明家トーマス・エジソンのフィラメントを使った白熱電灯か、はたまた、ノーベル賞を受賞した白川英樹博士の導電性プラスチックを超える世紀の大発明と讃えられた。
高度成長期以降、日本製の白物家電が世界の家庭を席巻したように「その子ライト」もまた、未来ナース以降、テレビ業界の何気ない一風景となって浸透していった。
信頼関係のもと成り立ったツッコミ
そして、この「その子ライト」を描写することが、俺たちの格好の持ちネタとなった。
「ゲーテもびっくり! もっと光を !」
「農家の皆さん! これからの害虫はこの新しい誘蛾灯で駆除して見せます!」
「シワもシミも吹っ飛ばせ! マジンガーZの必殺技光子力ビーム!」
「出ましたっ! 住年のプロレスファンも喜ぶ、ブルーノ・サンマルチノもビックリ! これが本当の『人間発電所』!」
「長嶋監督ごめんなさい! 往年のジャイアンツダメ外人もビックリ! これが本当のクレイジー・ライトです!」
「見てください! 技術さんはホワイト調整をその子先生の顔でやっています!」
「女優さんが使うライトとはモノが違います。なにしろ先生のライトは軍事用のサーチライトです!」
「この光、たしか『ゴジラ』で自衛隊が使っていました!」
「映画ではお馴染みです。20世紀FOXの映画のオープニングで使われ、映画『BATMAN』で使われた夜空に当てるサーチライトです!」
「♪オイ~ラ岬の灯台守は~その子先生の安全な航路を確保するため、この灯りを絶やしてはいけません!」
「お母さん! この光、お子さんに見せないで下さい! その子先生はピカチュウより光っています! 泡を吹いても知りません!」
「実はガングロ女子高生は、本当は白いんです。先生に当てるこのライトを浴びて黒く焦がしています!」
「近所の方、すいません、避雷針をご用意してください!」
「でん子ちゃん、すいません! その子ちゃんは節電には協力できません!」
「このライト、電力消費量は凄いです! 撮影のたびに、ここ浜松町は大停電です!」