異性愛者しか想定していない問診票の問題点
今回のエピソードをTwitterに公開したところ、多くの方から同様の経験があったというコメントをいただきました。
しかもこの問診票、同性愛や両性愛の人を想定していないだけでなく、そもそも性欲を誰に対しても持たない・持ちづらいセクシュアリティであるAセクシュアルの人々も、想定されていません。
もちろんメンタルの不調によって、もともと性欲のある人が「性欲がなくなる」場合はあります。なので、問診票でそのこと自体を聞くことは必要なことかもしれません。しかし、異性愛者しか想定していないこの問診票では、同性愛者やAセクシュアルの人をさらに追い詰めてしまうことになりますし、そもそも彼らの正確な症状について把握することはできませんよね。
また患者の立場として、担当の医者を信頼することはどんな治療の過程でも重要なことのはず。「当然に異性愛者だろう」という想定で対応されてしまっては、「もしかしたらこの人は同性愛などに偏見があるかもしれない」という不安を抱いてしまうことにも繋がってしまいます。これは、病院側としても望ましくない状態ではないでしょうか。
一言「性欲がある人の場合」という言葉を付け加えたり「異性」に限定しない表現にするだけで、より多くの人が安心して答えられる問診票になるでしょう。
今回のエピソードを寄せてくださった方が答えた問診票は1965年から使われているものだったそうです。当時はたしかに、性の多様性について認識されていなかったかもしれません。しかし、今日では「同性カップルにも平等に結婚する権利を求める裁判」が全国で進んでいて、さらにパートナーシップ制度の導入が広がるなど、もはや異性愛者しか想定されていない社会ではありません。また、Aセクシュアルなどの性の多様性についても、少しずつ知られるようになってきました。
誰もが安心して医療にかかれる社会に向けて、こうした1つひとつの古い価値観の残留物をアップデートしていく必要があるのではないでしょうか。
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