自在に歪められた人体の全部または一部、おそらくは生姜? のような植物のアップ……。
何が描かれているのかは、どの作品を見てもぼんやりとわかる程度。ところどころに赤や青の色が塗られているものの、基本的にごくわずかな黒い描線で絵ができている。
それなのに、この生々しさといったら。
見つめていると背筋がゾクッとしたり、艶かしい気分がよぎったり、また吐気が上ってくる瞬間もあったり……。感情というより、もっと原始的な情動が、身体の奥からむくむく立ち上がってくる感ありだ。
昨今の最注目アーティスト、川内理香子の作品のこと。
このたび初の画集『Rikako Kawauchi drawings 2012-2020』を刊行し、それに合わせて東京・文京区にあるギャラリーWAITINGROOMで、個展「drawings」も開催中だ。