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2020/12/18

同性間でもセクハラ成立 直接手は下していないが…

 まずゲイバーでの行為は異性間ではなく、男性対男性だが、これはクリアできそうだ。たしかにセクハラの典型は男性上司が部下の女性に卑猥な言葉を投げかけるなど、異性間が多いが、2014年には厚生労働省がセクハラに関する指針で同性間のハラスメントも含むと明記している。

 民事訴訟に詳しい弁護士が今回の訴訟で難しい点とみるのは、「女性上司が直接手を下していない点だ」という。

(写真はイメージです)©iStock

 セクハラは男性上司が女性部下の体を触るなど、直接手を下した場合には比較的セクハラが認められやすいが、今回はセクハラ行為を直接したのはゲイバーの店長であって女性上司ではない。

「女性上司に、店長の行為を止める義務まであったといえるのか。たまたま店内が盛り上がって、店長がそのような行為に及んだとすれば、上司が止めなかったからといって責任を問うのは難しいでしょう。本当に無理矢理下半身を触ったり、顔をなめ回したりするような行為が確実に行われると分かった上で男性をゲイバーに連れて行き、店長の行為を奨励した、といえるなら別ですが……」(同前)

ゲイバーは「職場」なのか? 会社の責任は…

 さらにハードルが高いのは会社の責任だ。そもそもこのゲイバーが「職場」といえなければ、会社の責任は問いにくいからだ。

 セクハラ・パワハラ訴訟で会社がよく問われるのは「社員に安全な職場環境を準備する義務」。この義務が認められるには、セクハラ・パワハラ行為のあった場所が職場に近い場所と認定されなければならない。

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 ゲイバーが職場と認められるのは相当難しそうだが、会社の飲み会や、さらにその二次会を「職場の延長」として認めた判例もある。