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 福島県会津若松市と隣接する長沼町(現在は須賀川市)では、97年から01年の間に6件のキノコ採りでの男女の重傷事故が続いた。さらに02年から03年にかけて、北東方向に発生場所が移り、会津若松市、天栄村、下郷町、会津高田町の地域で、死亡事故を含む7件の事故が続いた。02年以降は、以前の家族から分かれた個体による事故が疑われる。

 秋田県の八幡平、鳥海山でも連続事故がある。新潟県妙高高原町(現在・妙高市)、妙高村(現・同上)、隣接する長野県信濃町の地域も危険地帯だ。山林内での事故では加害グマが駆除されることが少なく、生き延びやすい。

多人数事故

『94年8月31日早朝、新潟県笹神村で90分間に農作業中の男女4人が、別々に襲われ女性(72)顔に重傷、クマは大きく移動し女性(72)腕を骨折、男性(62)腕に重傷 、女性(76)腕に重傷を負わせた。』新潟日報(1994・9・1)

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 新潟県の笹神村と水原村の村境にある畑では高齢の女性3人、男性1人が農作業を行なっていた。早朝の5時過ぎ、翌日の降雨の予報を避けて農夫たちは畑に立った。まず72歳の女性が襲われ顔に重傷を負った。

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 その後、数キロ離れた別の72歳の女性を襲って腕を骨折させ、続いて62歳男性の腕に重傷を負わせ、さらに76歳の女性の腕にも重傷を負わせた。4人目を襲った後もクマは付近にいて射殺された。70㎏ほどの雌だった。

 秋のドングリ類が凶作の年はその前、夏の終わりに、まず疾病グマから出没が始まって騒ぎになることがあり、この例もそれではなかったろうか。

 平野部に出ていながら隠れもせずに徘徊したことは、弱っていたクマが「人狩り」を目指していた可能性がある。

《今後、多人数の重大事故が起こるとすれば、十和利山クマ襲撃事件、戸沢村事件のような移動殺人とは異なり、行楽地で、クマの一撃で数人が死亡する、一撃多殺事故が起こるだろう》――米田

熊が人を襲うとき

一彦, 米田

つり人社

2017年4月24日 発売