聡仁組が山川一家に噛みついても問題視されない背景
2016年12月には神奈川県伊勢原市の伊勢原協同病院前で稲川会系組長の遺体が放置されているのが見つかっている。この事件では聡仁組関係者が傷害致死容疑で逮捕された。
「この事件で稲川会は、住吉会系組事務所がある新宿・大久保のビルに発砲する事件を起こしていましたが、今回の事件で稲川会側は『目には目を』と考えたのか、住吉会、稲川会がともに病院前に遺体を放置したとみられています。事件の発端は12月5日未明、やはり平塚市内で住吉会と稲川会の関係者が乱闘となったことのようです。
ただ、今回の事件は福岡に本部を置く道仁会の小林哲治会長の仲裁で手打ちとなりました。幸平一家の加藤総長と小林会長は2012年12月と13年1月に沖縄のゴルフ場で暴力団であることを隠してプレーをしたとして詐欺容疑で警視庁に逮捕され、ともに無罪判決を受けた旧知の間柄です。加藤総長も小林会長の仲裁だから受け入れたということのようです」(同前)
幸平一家は山口組でかつて「山健にあらずんば山口にあらず」とまで言われた山健組と長く友好関係にあったことはよく知られる。2015年に山健組の井上邦雄組長(当時)が6代目山口組を脱退し、神戸山口組を結成した際には初会合に加藤総長が駆けつけ、話題を呼んだ。
「そういった経緯も、聡仁組が山川一家に噛みついても幸平一家内部で問題視されない背景にはあると警察はみているようです。しかし、警察が幸平一家を特に問題視している理由は、ほかにもあります。加藤総長が2次団体の総長を襲名した際に、加藤連合(当時)傘下の4次団体から幸平一家直系の3次団体に昇格した歌舞伎町に本部を置く堺組の存在です。堺組は『半グレ』などと呼ばれた旧『関東連合』OBの一部を吸収し、巧妙に特殊詐欺などに関与している疑いがあるからです。6代目山口組と神戸山口組のにらみ合いが続く中、間隙を縫うかのように活発な活動を見せる住吉会幸平一家に対して、警察当局はいつまで手をこまねいているつもりなのでしょうか」(同前)
警察当局の今後の出方に注目だろう。