年末年始の暴力団のシノギ(資金獲得活動)といえば、一般には初詣の露店を思い浮かべるが、もう一つ、飲食店に門松などの新年の縁起物を販売することもシノギとされてきた。だが近年は、警察当局が暴力団排除条例を適用することでこうした活動を阻止しようと、強い姿勢で臨んでいる。
3万円の門松を飲食店には…
今年10月、「門松」をめぐってある事件が摘発された。
東京・渋谷のストリップ劇場に門松を販売したとして、警視庁は都暴力団排除条例違反の疑いで、稲川会系幹部ら3人を逮捕した。幹部らは昨年12月、約3万円で手に入れた門松をストリップ劇場に約8万円で販売しており、警視庁は差額の5万円がみかじめ料だったと認定した。
正月用の門松の販売については、例年11月ごろに暴力団側から飲食店などの事業者側への打診が始まるといい、警察当局が先手を打った格好だ。
暴力団幹部がストリップ劇場に門松を販売した事件は、暴力団による正月のシノギが表面化した稀な事例といえる。警視庁はさらに暴力団排除を進めようと、12月17日に渋谷の繁華街で「暴力団排除ローラー作戦」といったイベントを開催。門松の不当な販売などに応じないよう呼びかけた。
クリスマスツリーもシノギに
金融や不動産業、そして飲食店から「みかじめ料」と称する用心棒代を徴収するシノギを手がける、指定暴力団のベテラン幹部が解説する。
「年末に向けて、縄張り内のクラブやバー、居酒屋などの飲食関係の店舗にクリスマスツリーや門松などを販売することがシノギになっている。最近は暴力団排除の名目で付き合わない店が多くなったが、10年ほど前まではどこでも当たり前のことだった」
普段から店舗への物品販売は重要なシノギで、門松やクリスマスツリーはその延長線上にあった。