国内最大の暴力団である山口組の対立抗争は、分裂から6年目の年の瀬を迎えているが、収束する気配はない。

 この年末年始がこれまでと違うのは、6代目山口組と離脱した神戸山口組が「特定抗争指定暴力団」に指定されていることだ。2020年1月に両組織の多くの事務所がある神戸市や名古屋市などで警戒区域を設定され、強い規制が掛けられたまま、初めての正月を迎えることになる。

6代目山口組の司忍組長 ©時事通信社

年末年始の行事は静岡で開催

 暴力団業界でも一般社会と同様、年末には忘年会が開催され、年が明ければ新年会が催される。

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 山口組では、毎年12月13日に新年会にあたる「事始め」と呼ばれる行事が催されるのが通例となっている。年によっては「納会」と呼ばれるときもある。山口組は創設100年以上となるが、近年ではほぼ途切れることなく続けられてきた。

 世間とは違い、12月中旬に新年行事が開催となるのには理由がある。山口組の事情に詳しい暴力団幹部が説明する。

「起源には諸説あるが、組織内には神社やお寺の初詣などに露店を出して商売をしているテキヤ系の団体も多い。そのため年末を迎える前に新年行事を済ませておくようになったのではないか」

 例年では、神戸市内の山口組総本部に「直参」と呼ばれる直系組長らが集まることになっているが、今年は12月21日に静岡県内の関連施設で行われた。

「神戸以外で開催された理由には、特定抗争指定暴力団とされたことがあげられる」(前出の幹部)

「警戒区域」に5人以上で集まると即座に逮捕される。当然のことながら神戸市も警戒区域となっている。

「自動小銃乱射」が衝撃だった

 2019年10月に山口組ナンバー2にあたる若頭の高山清司が府中刑務所を出所したのと前後して、同組系傘下組織によって神戸山口組系幹部らが射殺される事件が続発した。

6代目山口組の高山清司若頭 ©共同通信社

 このため、兵庫や大阪、愛知など6府県の公安委員会は2020年1月7日、山口組と神戸山口組の双方について特定抗争指定暴力団に指定し、両組織の多くの事務所などがある神戸市や名古屋市など6府県10市を警戒区域に設定して強い規制に乗り出していた。