「クラブなどでは店内の観葉植物や観賞用の花などの植物関係のほか、絵画、置物なども。さらに、どこの飲食店でも必要となるおしぼり、トイレの芳香剤など様々な物品が販売の対象だった。こうした仕事は、テキヤも博徒も関係なくやっていたし、今でも一部ではこうした商売は続いている」(同前)
しかし、今年はコロナ禍の影響で、断られるケースが多いという。
「こうした商品を販売するのは飲食店が中心。新型コロナ感染拡大で客足が遠のき、さらに行政からの営業時間の短縮要請で売り上げが落ち込んでいるため、断るにあたって店側のうまい口実に使われている」(同前)
暴排条例の整備で下火に
この飲食店へのシノギに対抗するため、警察当局が適用してきたのが、暴力団排除条例だった。長年にわたり暴力団対策に携わってきた警察当局の捜査幹部は、こう強調する。
「全国で暴排条例が整備されてかなりの年数が経過した。その効果は大きく、暴力団と店の関係遮断がかなり進んだ。暴力団はすでに繁華街の飲食店などからのカネの徴収が困難になってきている。だからこそ、この年末年始をきっかけに、改めて関係を築くために物品販売を名目にした資金獲得活動を活発化させるのではないかと警戒している」
福岡県で始まり各地で施行されてきた暴排条例は、2011年に東京都と沖縄県で施行されたことにより全国で整備された。
大きな特徴は、事業者や個人の側が、暴力団に利益を提供することを禁じられたことだ。違反した場合、勧告などが行われるが、悪質な場合は事業者名などが公表される。
さらに、東京都は2019年10月には改正暴排条例を施行。事業者などが暴力団に利益提供した場合、悪質なケースでは勧告などを経ずに直接、摘発も可能となった。事業者名の公表だけでも店舗経営には大きなダメージとなるが、事件として摘発されれば刑事罰を問われることとなり、さらに傷は深くなる。
2020年2月には、改正された都暴排条例が初めて適用された事件が摘発された。