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「出鼻をくじかれてしまったんですけど、先輩が『俺のバッグを譲ってやるよ』って。2代目の緑バッグだったんですけど、それを借りてようやく始めることができました。

 僕はいま中央線沿線に住んでるんですけど、やっぱり人が多いところのほうが通知が鳴りやすいと聞いたんで、土地勘のある新宿から大久保あたりを流すことにしました。最初に取ったのはフライドチキンの配達で、それから2時間くらいかけて4件届けて報酬は2000円くらい。これはちゃんと稼ぐのはけっこう大変だなって思いましたね」  

効率を最優先させた「マック地蔵」スタイル

 配達パートナーの報酬は変動性で、飲食店からの受取料とお客さんへの受け渡し料金、配達の際の移動距離に準じた料金を足したものとなる。さらに、注文が集中するピーク時などには報酬が1.1倍から1.5倍ほどになる「ブースト」などのボーナスが加算される。  

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「昔はブーストも頻繁についたみたいですけど、最近は1.1倍とか1.2倍くらいしか見たこと無いですね。あとクエストっていう、指定された配達回数を達成するともらえる追加収入もあるんですけど、その額も以前よりはかなり低くなったみたいです。お客さんからのチップもほとんど無いですし、結局は短い距離の配達で回数をこなすしか稼ぐ道はないんですよね」 

 その効率を最優先させたのが「マック地蔵」と呼ばれるスタイル。マクドナルドは店舗数が多いので、配達も近場に限定される。そこで、マクドナルド周辺に待機して注文を待ち、短距離配達を繰り返すことで効率良く稼ぐのだ。 

マクドナルド周辺に待機して注文を待ち、短距離配達を繰り返す「マック地蔵」スタイル ©iStock.com

「新宿とかだと、グループでマック地蔵をやってる人もいますね。聞いた話だと、注文を受けた本人と違う人が届ける“代行”っていう違反行為をやってるのもいるみたいです」 

 須田さんは、大久保のあたりを自転車で走っている時に、別のウーバー配達パートナーとトラブルになったという。 

「信号待ちしてる時に、隣にウバッグ背負った自転車が入り込んできて、僕にちょっと接触したんですよ。自分からぶつかってきたくせに睨んでくる。青になったんで、『気をつけろよ』ってひとこと言って走り出そうとしたら、後ろからドンと衝撃があって。一瞬なんだろうって思いながら振り返ったら、そいつが自転車降りて仁王立ちしてるんですよ。あ、これ蹴られたんだなってようやく理解して、僕も自転車降りてそいつのところに向かったんです」 

 配達パートナー同士の、路上ファイト勃発である。 

「『テメー、蹴っただろ!』って胸ぐらつかもうとしたら、歩道のあたりから『やめろ、やめろ!!』って声が聞こえて。そっちをみたらオバサンが叫んでて、『お前らウーバーだろ! だったら運べよ!」って怒られて。僕もそうだなって思って自転車に戻りました」  

 車道脇でウバッグを背負った配達パートナーが掴み合う……。これが令和の大久保のリアルな光景だ。