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 ウーバーイーツは、お客さんが配達パートナーに対して「いい」「悪い」を評価できるシステムがあるが、配達パートナーが飲食店に対して評価を下すこともできる。 

「ある飲食店は、いたるところに張り紙がしてあって『配達員は必ず外で待つように』とか『この扉をあけるときはノックしてください』とか、注意書きがすごくて、そこはバッド評価も多かったですね。あと、別の店では料理が出来てなかったので店員に催促したら『いま出来るから外で待ってろ!』と暴言を吐かれたこともありました。

 そういう店に限って意外と注文が多くて、何度も行くことになるんですよね……。ムカつくんで、その店に行くときはスマホの画面をみせて、バッド評価を押しながらピックアップしてます」 

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©iStock.com

ウーバーを頼むセレブは、タワマンや高台に住んでいる

「新しい生活様式」のひとつとして、すっかり日常に溶け込んだようにみえるウーバーイーツだが、その内情は「作る人」「運ぶ人」「食べる人」のそれぞれが鬱屈を抱え、小競り合いを繰り返しているようだ。 

「配達パートナーをやるようになって、いちばん感じたのは『街って、こんなに高低差があるんだ』ってことですね。新宿も渋谷も坂道ばかりなんです。それに、ウーバーを頼むような人って、やっぱりそこそこセレブが多くて、タワマンだったり、高台に住んでるんですよ。飲食店のある繁華街はたいてい低いところにあるんで、基本的には低いところから高いところに届ける、という感覚ですね」 

 ウーバーイーツの配達パートナーは「自分時間で好きに働く」といった先進的なイメージがあったが、現実はもっと世知辛い。彼らが日夜踏みしめている“高低差”は、そのまま格差社会の暗喩となっているのかもしれない。