例年であれば賑やかなイベントが開催され、大勢の若者や観光客で狂騒の渦と化す渋谷のカウントダウン。しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大やクラスター発生の懸念から、9月の時点で早々にイベントそのものの中止が発表されていた。

街のいたるところで掲げられていた看板 ©文藝春秋

 渋谷区の長谷部健区長は「年越しの瞬間を祝ったり盛り上げるような要素は一切ありません」「カウントダウンを目的とする渋谷駅周辺への来街をぜひお控えくださいますよう、強くお願い申し上げます」「今一度やらないことを伝える必要がある」と直前まで数回にわたってメッセージを発信。

 大型ビジョンは23時に停止し、渋谷駅に乗り入れている鉄道各社は終夜運転を取りやめるといった官民が連携しての対策がとられ、結果的に例年に比べると少ない人出となった。

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いたるところで“濃厚接触”が

 しかし、ハチ公前広場を中心に人々がソーシャルディスタンスお構いなしでコミュニケーションをとっていたことも事実だ。

 政治団体「国民主権党」がお囃子のような大音量の音楽とともにライブパフォーマンスを繰り広げるエリアを中心に、人がごった返していた。歩けないほどではないが、スムーズな往来は困難な程度といった具合だろうか。マスクを着用していない人もおり、“対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触”という定義に則ると、いたるところで濃厚接触が起きていたと思われる。

「クソな風潮に惑わされず、さっさとマスクを外せ」という歌とともにライブを続ける国民主権党  ©文藝春秋

 なぜ、コロナ禍にもかかわらず、渋谷に集うのだろうか。若者の街の様子を観察してみた。