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「前川の乱」は、前川さんの性格からすれば想定内

鹿島 とはいえ、文科省からはメモや文書がどんどん出てくるのに、内閣府はそんなものはないという泥仕合が続いています。「文科省vs.内閣府」という構図はどうご覧になっていますか?

 私の大臣経験から言えば、内閣府はつまり政策のとりまとめをするプラットホーム、政策の調整役。だから、他の役所とはしょっちゅうケンカがあるんですよ。まさにケンカと言っていい激しい応酬。

鹿島 それは五分と五分のケンカなんですか。

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 四分六分、あるいは六分四分の場合もあると思います。

 

鹿島 加計に関しては、どうですか?

 私は五分五分だと思っている。というのは、文科省には高等教育機関の設置に関しての法律、政令も省令も、これまでの前例もありますから。基準にのっとり行政がゆがめられることがないよう、審議会など第三者の審査を受けて実行するのが役所の仕事。一方の内閣府には、政府全体としての政策の方向性を決めるナビゲーターの役割もあります。方向性と実務がどうお互いに歩み寄るか。これ、まさしくバトルです。そういうやりとりの中でお互いにメモや行政文書があるわけです。加計問題については、最終的に言った言わないの水かけ論になっていますが、これはやはり当事者同士、お互いの思惑と、認識と、法令に従っての国会答弁だと思いますので、私にはなんとも判断がつきません。

鹿島 前川さんの今回の古巣批判という「戦い方」は、想定内、想定外、どちらでしたか。

 前川さんの性格からすれば、想定内ですね、全部。人間味のある、能力のある、そしてちょっと気の小さい、といって信念は曲げない。非常に人間的な人だと思います。ただ、本人としては古巣批判というよりも、自分はこう思っていたということを表明しているだけなんじゃないですか。本人は戦っているつもりはないと思いますよ。まあ、ある意味、守秘義務違反とはずいぶん戦っていると思います。守秘義務違反にあたらない程度に、事務次官を経験したOBの、本音の部分を吐露してるんだなと。

 

前川さんと私の共通点は、女好きだというところ

鹿島  5月22日の読売新聞に、前川さんが出会い系バーに行っていたという記事が出ましたよね。あれで逆に前川さんのファイティングスピリッツに火がついたのかなと思ったんですが。

 ファイティングスピリッツというよりも、琴線というか心中の何かに触れたんだろうな。まぁ、前川さんと私の共通点は、女好きだというところですが(笑)、私の知るかぎり、前川さんという人は常に事務次官、国家公務員という立場をふまえて振る舞っておられましたので、そこでなされたことも、いわゆる居酒屋の会話の範疇を超えるものではなかったと思います。ただ、あのバーは、もともと警察の内偵対象だったようなんですよ。そこはちょっと脇が甘かったなと言わざるを得ないですね。

鹿島 文教族の馳さんに聞きたい、もう一つの大きな問題は東京五輪についてです。

 はい、どうぞ。受けて立ちましょう(笑)。

#2 馳浩vs.プチ鹿島 激突!「森喜朗とオリンピック問題」につづく)
構成=皆川秀
写真=白澤正/文藝春秋