1月7日、菅義偉首相が2度目の緊急事態宣言を発出した。今年は、皇室の新年行事にも大きな影響があった。皇居・宮殿で予定されていた恒例の「講書始の儀」と「歌会始の儀」は延期になり、3月中に行うことを目指すという。

 昨年、雅子さまは天皇陛下の即位後初めての新年にあたって「歌会始の儀」に17年ぶりに出席され、鮮やかなコーラルのロングドレスをお召しになっていた。ビジューのように見える装飾が襟元や袖口に施されていて、手仕事の細やかさと新年らしい華やかさが目を引いた。こうした年頭の行事での女性皇族方の美しいドレスを通して、新年を迎えたことを実感していた人も多かったのではないだろうか。

2020年1月16日、歌会始の儀 ©時事通信社

ビデオメッセージでも「チャイニーズノット」のジャケットを

 例年1月2日に行われていた「新年一般参賀」は中止になり、元旦に天皇陛下の異例の「新年ビデオメッセージ」が公開された。陛下のおことばとともに雅子さまも国民を気遣われるようにご自身の思いを述べられた。「新年祝賀の儀」では、雅子さまをはじめ女性皇族方が、新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの国民が苦労していることを考慮され、例年であればティアラを着用されるところ、控えられた。

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新年ビデオメッセージ。天皇陛下のネクタイと雅子さまのジャケットの色合わせが、さりげない「リンクコーディネート」になっている 宮内庁提供

 あらためてビデオメッセージのお召し物を拝見していると、さりげなく陛下のネクタイの色と雅子さまのジャケットの色を上品なベージュで合わせられていただけではなく、ノーカラージャケットのチャイニーズノット(チャイナボタン)がアクセントとなり、雅子さまらしい装いをなさっていたことに気がついた。雅子さまは組紐をジャケットなどにしばしば取り入れられていて、特にお好きなようだ。昨年、全国戦没者追悼式でお召しになっていたグレーのスーツにもあしらわれていた。ビデオメッセージで雅子さまが選ばれたお召し物は、ジャケットの組紐やベージュ系のラインが洗練された印象を与えつつも、全体として柔らかさやあたたかみを感じさせるデザインだったように思う。

両陛下はザ・キャピトルホテル東急へお出ましに

 昨年末の雅子さまの装いで、とりわけ印象に残っているのが、12月14日、環境問題に取り組むNGO「地球環境行動会議(GEA)」が主催する「GEA国際会議2020」の開会式に臨席された際のモスグリーンのスーツだ。

会場へ到着された天皇皇后両陛下。陛下はグリーン系のネクタイを、雅子さまはモスグリーンのセットアップをお召しになっている ©JMPA

 両陛下はマスクを着用されて、ザ・キャピトルホテル東急へ足を運ばれた。雅子さまが長年愛用されているスーツの一つで、ベルベットがあしらわれたジャケットの襟とカフスがクラシカルなデザインのものだ。