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「飯を食うために集まったのではない」 “二階語録”で学ぶ「会食=政治活動の命」説

「嫌な奴とも飯を食うことだ」

2021/01/12
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 さらにここで注目したいのは「政治家の会食」という視点だ。

 折も折、こんなルール作りがすすめられていた。

議員会食「4人以下で」 与野党協議』(読売7日)

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 政治家の会食を「4人以下で、午後8時まで」とする方向で調整していた。これに対し日本医師会の中川俊男会長は全面自粛したらどうかと会見で発言し、このルール作りは立ち消えて会食自体を自粛する方針となった。

なぜ議員の「会食ルール」が検討されたのか?

 それにしても国民に自粛を求めながらなぜこんなルール作りを考えていたのか。思い当たることが1つある。

 これはもう「二階ルール」なんだろう。

 自民党の二階俊博幹事長。ミスター会食、いやミスター怪食とも言っていい。

「ミスター怪食」二階幹事長 ©️文藝春秋

 昨年12月、菅首相が二階幹事長らと計8人で会食して批判を浴びた。それなら「少人数、4人ならいいだろう」という二階のトシちゃんの声が聞こえる。実際にあのあとも4人以下で会食をしていたという話を永田町方面から私も聞いた。

 二階氏にとって会食は政治活動の命なのだ。

 ここで二階語録を紹介しよう。

《嫌な奴とも飯を食うことだ。かつての民主党は、仲の良い奴とだけ飯を食う。だから割れるんだ。嫌な奴だって二回、三回飯を食うと、良い所が見えてくるもんだ》(文藝春秋2020年11月号 二階俊博「最後のキングメーカー」の研究)

昭和の政治家ならではの「情の論理」に重きを置く二階氏 ©️A文藝春秋

 いかがだろうか。

 言っていることは悪くないと私は思う。「人と会う」ことの意義を説いているからだ。しかし「今」ではないことは確かだ。

 さらにこの言葉には昭和政治家ならではの匂いも感じる。論理や政策を抜きにして、まず半径5メートル以内の人間を味方につけちゃえという情の論理である。もしかしたら世のおじさん達にも今も尊重されている手法かもしれない。