店主のこだわりが詰まった純喫茶、個人商店が立ち並ぶ商店街、常連同士の会話で活気あふれる大衆酒場、猥雑な魅力たっぷりなストリップ劇場……令和を迎えて数年が経ついま、かつて当たり前のように見られた風景は徐々に失われつつある。

 そんな「昭和遺産」スポットを訪れては精力的な情報発信を続けること10年弱。800万ビューの人気ブログ『昭和スポット巡り』を運営する平山雄氏が『昭和遺産へ、巡礼1703景』を出版した。同書で紹介される「昭和遺産」は108ヵ所にものぼる。ここではその中からさらに厳選した哀愁たっぷりの「昭和遺産」10スポットを紹介する。

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うろこ状の「下見板張り」の朽ち方が美しい/第一食堂(青森県・三沢市)

©平山 雄

 これほどまでに味のある外観の食堂は、全国を探してもなかなかないでしょう。古さはもとより、とにかく全体の作りが小さいことに驚かされます。平均的な身長の大人なら、少しかがまないと入れないほど。

©平山 雄

 ざるそばを注文しましたが、予想以上に量が多くてびっくりしました。そばはツルツル、海苔もたっぷり、つゆも出汁がきいていて、好みの味でした。また食べに行きたい!

 

 暖簾がしまわれているので休業と思いながら、ダメ元で戸を叩いてみると、お店のおばさんが出てきてくれました。どうやら、これからお店を開けるところだったようです。

©平山 雄

 テーブルには「ブルドック」のウスターソース、「S&B」の一味唐辛子、「味の素」などの市販品の調味料がいろいろ置かれていて、庶民感テイストも濃いめです。落ち着く店内だなー。