2020年12月3日、列車運転ゲームの定番ブランド『電車でGO!』シリーズの最新作『電車でGO!! はしろう山手線』がプレイステーション4向けに発売された。高解像度の景色のなかで、リアルな電車が走る。

 VR版は原宿~品川間に限定されるけれども、通常モードはゲームセンター版にはない区間も新規で作って「内回り1周」を収録した。山手線1周という意味で、最新作『電車でGO!! はしろう山手線』は、『電車でGO! 特別編 復活!昭和の山手線』のスーパーバージョンアップ版とも言える。ただしゲームとしては「復活運転」ではなく、まったく新しい「新路線」の誕生といえる。

 

 ゲーム開発の裏側について、スクウェア・エニックスの野本遼プロデューサーと尾崎義規ディレクターにお話をうかがった。

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渋谷駅は工事中、約2カ月半の間の風景を再現

「ゲームセンター版の山手線は1997年に取材した風景で作られています。それをそのまま使うと品川から田町方面は線路がつながりません。高輪ゲートウェイ駅新設関連で線路が移設されていますから。そこで、プレイステーション4向けに取材したタイミングに合わせて、1周に繋がるように修正しました」

スクウェア・エニックスの野本遼プロデューサー

 高輪ゲートウェイ駅は完成している一方で、渋谷駅の埼京線のプラットホームは旧いままだ。高輪ゲートウェイ駅は2020年3月14日に開業した。渋谷駅の埼京線プラットホーム移設は2020年6月1日だ。ゲームは約2カ月半の間の風景を再現したと言える。もうほとんど新たに作った風景と言っていい。ただし、ゲームセンター版が好きという人にアーケードモードも搭載しており、こちらはゲームセンターと同じ風景が入っている。

「取材している頃に渋谷駅の工事をしていたので、工事中の風景を再現しています。景色を再現するために、JR東日本さんに協力していただき、運転席にカメラを積んで撮影しました。ディテールアップのために追加取材して、現地で写真を撮っています」

約15000枚の写真、10時間超の動画撮影でリアリティ追求

スクウェア・エニックスの尾崎義規ディレクター

 取材写真の枚数は15000枚以上、動画は10時間以上、風景を撮るために山手線以外の列車からも撮っているという。どうりで線路脇の機器、プラットホーム端の職員専用通路などがしっかり作り込まれていたわけだ。そのあたりはJR東日本側が本気でチェックしてくれたという。

 ただし、解像度が上がっただけに、逆に見え過ぎてしまうところもある。自動販売機の中身、立ち食い蕎麦屋などはあえて変えている。そのひとつひとつに許諾や確認作業を求めるとキリがないからだ。逆にこだわったところは列車を待つ人々の姿だ。男性女性年代を取りそろえ、服の色を変えるなどでバリエーションを増やす。飾りではなく、乗車率や設定によって増減する。