2020年10月に行われた、リニア中央新幹線の報道関係者試乗会の模様を引き続きレポートしたい。2015年の「L0(エルゼロ)系900番台」試乗から5年後、リニア中央新幹線は車両の形やデザインだけではなく、乗り心地も進化していた。
5年後の試乗で感じた「乗り心地」の進化
まず、改良型の試験車両「L0系950番台」は、走行中の耳ツン現象がなくなった。リニア実験線はトンネルが多い上に、高度変化も大きい。磁気浮上式は在来の鉄道より勾配を大きくできる。したがって、車両が受ける気圧の変化が大きい。その対策として気圧変化が緩やかになるよう、車両の給気量と排気量を調整している。900番台では耳への圧迫感があったけれども、950番台ではほとんど感じない。しかし、これは乗客側の個人差もある。
先頭車のカメラ位置が高くなったため、室内に設置されたモニター映像の視界が広がった。900番台では軌道の底と壁、空しか見えなかった。それはもう、軌道点検の映像そのもの。しかし950番台では空が広い。山並みも見える。リニア中央新幹線はトンネルだらけで、座席横の車窓は一瞬だ。しかも現在の明かり区間もシェルターを設置する案がある。そうなると景色は先頭車カメラ映像のみ。この改良は嬉しい。
ただし、950番台の車内モニターの数は減った。これはちょっと残念。900番台は一般試乗会で使われたため、敢えて多数のモニターを設置したけれど、営業用に進化した950番台では少数で良いという考えかもしれない。しかし車窓が見えないだけに、エンターテイメントとしてのモニター増設はあっていいと思う。広告メディアとしても有望だ。