日本最大の湖「琵琶湖」を擁し、鉄道の要衝でもある滋賀県のトップ・三日月大造知事は元JR西日本の運転士! というわけで、今も電車に乗ると「つい手が動いてしまう」という知事に運転士時代の思い出から滋賀県が抱える交通の課題までを徹底的に語ってもらった。前編では、運転士時代の秘話から……。(後編は知事が語る「日本の交通“新しい地図”」)
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運転の難所は「セノハチの急勾配を下るところ」でした
――知事はJR西日本時代、運転士をされていたそうですね。今も電車に乗ると運転士時代を思い出して手が動いてしまうとか……。
三日月 ハハハ、そうなんです。今でも時々電車に乗りますが、先頭車両の運転席の後ろに立っていないとどうも落ち着かないんですよね(笑)。先に子供がかぶりついていると、悔しいって思う (笑)。ただ、僕が運転士をやっていたのはずいぶん昔のことですし、今滋賀県で走っている琵琶湖線の新快速なんかは運転できないんですね。新しくて。
――旧式の車両じゃないと運転できないということですね。知事が乗っていたのは115系あたりでしょうか。
三日月 はい、あとは103系とか。2ハンドルの車両ですね。私のいた広島運転所では東は岡山、西は徳山までが乗務区間。路線としては山陽本線、呉線です。通しで乗務するのは長くても広島~岡山、広島~徳山でした。
――そのあたりには、急勾配でおなじみの“セノハチ”(瀬野駅~八本松駅)もありますよね。
三日月 そうそう! 22.6‰(パーミル)という、鉄道ではとてつもない急勾配で、貨物列車も機関車をひとつ増やさないと登れないようなところなんです。難しいのはそのセノハチの急勾配を下るところで、抑速ブレーキというやつを使わないといけない。特殊な運転技術がいるんですね。だから、僕にとってセノハチを運転したというのはちょっとした自慢なんです。まあ、誰に喋っても全然理解してもらえないんですが(笑)。