「プライドが許さない」と言ったはずが
12月初め、本田はポルトガル1部のポルティモネンセからオファーを受けた。本田個人のことを考えれば、移籍すればステップアップになる。しかし自身の「NOWVOICE」で、「オファーを受けたのは事実だが、断った。(降格の危機にあるボタフォゴを見捨てて)1月に退団することはできない。それはチームのためでもあるが、それ以前に自分のプライドが許さない」と言い放った。シーズンの期間延長に伴い、契約期間も12月末から2月末まで延長した。
ところが12月末、本田は前言を翻して退団。日本とブラジルのメディアは「ポルティモネンセへの移籍を模索している」と報じ、その後、本田自身が「NOWVOICE」で「ポルティモネンセもしくは他の欧州のクラブへの移籍を考えている」と明かした。
このような有言不実行は、ブラジルで最も嫌われる。本田は地雷を踏んだ。
突然の退団の理由について、本田はボタフォゴファンに「プロとしての、また個人的な理由から」としか説明していない。しかし「NOWVOICE」では、「2月末までプレーした後、フリーエージェントとなって欧州のどこのクラブでもプレーできると思っていたが、それは自分の勘違いだった。欧州のクラブでプレーするには、冬の移籍期間が終わる1月までに退団しないといけないから」と説明した。「自分のプライド」発言とは180度逆の決断である。
「ボタフォゴ愛」など存在しなかった
そもそも、このようなフットボールの世界の基本的なルールを、長く外国でプレーしてきた本田と彼のスタッフが知らなかったというのは、にわかには信じがたい。
いずれにせよ、ファンに誓った「ボタフォゴ愛」など存在しなかった。
本田のブラジルでの挑戦は、失敗に終わった。しかし、彼はまだオーバーエージ枠での東京五輪出場を諦めていない。
12月31日、「NOWVOICE」で、「これから大活躍をしないと、東京五輪には選ばれない。(12月19日のブラジルリーグの試合で痛めた左太ももの)怪我を治して、2月からギアを上げていく。5月までの4カ月が勝負だ」と語っている。
本田圭佑にとってキャリア最後の目標かもしれない「東京五輪プロジェクト」の前半は、不本意な結果となった。はたして、ここから盛り返せるのかどうか。
34歳は、正念場を迎える。