そこまで熱心に映画やドラマを観ていなくても、年に数本、「ハッ」とするような作品と出会う。そんな数少ないタイトルの中に高頻度で現れる俳優が、山田真歩さんだ。

 山田さんが演じるとどんな役でも「こんな人、いる!」という実存感がハンパなく、物語が一気に自分ごとになる。

 そんな山田さんが、第28回山本周五郎賞を受賞した柚木麻子さんの小説『ナイルパーチの女子会』のドラマ化(BSテレ東、毎週土曜21:00~)に登板する。

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「20代からずっと感じていた不安や空洞が小説の中にあった」と語る山田さんに、作品の魅力と、自身の半生について聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)

「つまりさ、頑張ってもどうにか出来るもんじゃないんだよ。友達だけはさ」(『ナイルパーチの女子会』より。以降、引用は本書より)

 山田さん演じる丸尾翔子は主婦ブロガー「おひょう」として人気を集めており、キラキラしてないリアルな(というか怠惰な)日常をさらけ出すことでフォロワーを獲得していた。

 そんな飾らない彼女に惹かれていくのが、商社に勤める容姿端麗なお嬢様・志村栄利子(水川あさみ)だ。栄利子は諜報員のごとくおひょうのブログを解析し、翔子と「女友だち」になるべく接近していくが……。

 文字にすると栄利子がクレイジーに見えるが、SNS全盛の今、気になる人の近況を調べたことくらい、誰にでも経験があるのではないだろうか。

SNSは向いてない

 ドラマは新型コロナが流行している現代を舞台に、リモートワークやオンライン飲み会といった独特な空間が見事に映像化されているのだが(オンライン会議の見せ方は必見)、山田さん自身は、SNSの距離感があまり得意ではないという。

「リモート会議とかって、背後にある自分のプライベート空間が相手に覗かれている感じがありませんか。ドラマではその雰囲気を可視化するチャレンジをしているので、そこも見どころのひとつです。