さらにYouTubeに「国会議員がNHKから個人情報をもらっている証拠動画 12月4日までにNHKから連絡がない場合は、モザイクをはずして、個人情報を公開します。」という動画を公開し、NHK職員に視聴者への訪問謝罪をさせるなどNHKの業務を妨害したとしている。
これらについて立花被告は法廷で「不正な利益は得ていないし、政治家として必要かつ合理的なパフォーマンスで正当な業務行為だ」と言ってのけたのだ。
「戦えることに大満足だ」
立花被告は2005年、NHK職員時に不正経理を「週刊文春」で内部告発し依願退職した。2015年4月には千葉県の船橋市議に初当選。翌年の東京都知事選のNHKの政見放送で「NHKをぶっ壊す」というキーワードで「ブレイク」し、2019年の参院選で当選、国会議員にもなった。YouTubeで積極的に発信し、チャンネル登録者数は40万人超。N国党は地方議員も多く抱えるまでに拡大。一方でトラブルも多く抱え、民事訴訟は日常茶飯事となっており、その多くで敗北している。
18日、初公判後に東京地裁前で撮影したYouTubeの動画で「感慨深い。16年前にNHKを内部告発して戦ってきた結果訴えられた。戦えることに大満足だ」などと語った立花被告。その傍らには主任弁護人である高橋裕樹弁護士(千葉県弁護士会)の姿があった。
リアル99.9弁護士は「正当な政治活動」と主張
高橋弁護士はかつて刑事裁判で活躍したことがニュースにもなった。2017年、千葉地裁で行われた傷害致死事件で無罪を勝ち取った際には、「有罪率99.9%と言われる刑事裁判で異例の4連勝」という見出しのプレスリリースを所属事務所が公開している。
傷害致死事件では、被害男性と被告人だった男性が口論になり、別の男らが被害男性を殴る蹴るなどして死なせた。検察側は被告人の男性と暴行した男らに共謀があったと主張していていたが、高橋弁護士は被告人が手を出していないことなどに注目し、これを否定。
地裁は「男性の意思とは無関係に(別の男らが)暴行した可能性を排除できない」として無罪を言い渡し、検察側も控訴をしなかった。高橋弁護士に軍配があがったのだ。
「松本潤主演のドラマ『99.9%ー刑事専門弁護士ー』(TBS系・2016年)でも話題になりましたが、日本の刑事裁判で無罪判決が出る可能性は限りなく低い。その上、刑事裁判は手間がかかるうえに金にならないことがほとんどなので、積極的に請け負う弁護士は、強い信念やポリシーを持っていることが多い」(全国紙司法担当記者)
高橋弁護士は今回の裁判については「N国党を潰したいNHKの意向を強く受けた検察庁が行った、強引かつ不正義な起訴」とした上で「政治家である立花さんの正当な言論活動・表現活動・政治活動だ」と主張する。
いずれの罪についても、捜査には協力的だったとみられ逮捕は免れ在宅起訴された立花被告。各政党が新型コロナウイルスの感染拡大への対応に苦慮していることなんぞお構いなしに、「独自路線」を走るN国党党首の刑事裁判の行方が注目される。