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(5)昇段の年少記録

「藤井君はあれだけ勝っていて、いつまで四段なの?」

 という疑問がよく聞かれる。四段から五段への昇段規定は、次の通りである。

・竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
・順位戦C級1組昇級
・タイトル挑戦
・全棋士参加棋戦優勝
・公式戦100勝

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 どの可能性も、もちろん考えられるところだ。最速であれば、年度末には、五段昇段を決めている可能性はある。藤井は初段から四段まで、ずっと最年少記録を更新してきた。ただし、五段の記録は加藤一二三現九段が持つ、15歳3か月。藤井は現在15歳2か月で、加藤の記録を破るのは、不可能となった。

 しかし、加藤の時代と違って、現在では順位戦以外にも、昇段条件が増えている。たとえばもし、藤井が今期、竜王戦決勝トーナメントを勝ち進み、挑戦権を得ていれば、七段昇段まで決まっていた。竜王位を獲得すれば、1期で八段、2期で九段となる。いずれどこかで、加藤の昇段ペースを追い抜かすこともあるかもしれない。
 

 藤井の実力がこれだけ知れ渡った現在、打倒藤井に燃える若手棋士も多いだろう。また、上位の棋士との対戦も、増えてくる。そんな中で、藤井は次にどのような記録を達成して、私たちを驚かせてくれるのか。これからの活躍にも、目が離せないところだ。

天才 藤井聡太

中村 徹(著)

文藝春秋
2017年9月29日 発売

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