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内村航平の言葉が政権内の合言葉になっている

 あとはやはりオリンピックでしょう。国際社会全体の流れに、決定的な影響を与える問題について、菅内閣はどう対応するか。

 1月27日に、世界全体でコロナに罹った累計患者数が1億人を超えました。WHOは、アスリートにワクチンを優先することには懐疑的だとも言われています。こういう国際社会の声に対して、どういうメッセージを発するのか。

 去年の11月、体操の内村航平選手は国際大会の閉会式のスピーチで、東京五輪について触れ、「“できない”ではなくて、“どうやったらできるか”を皆さんで考えて」と語りました。この言葉が、今、政権内や組織委員会の中でも「合言葉」のようになっているそうです。しかし、一方でオリンピックは止めるべきだという世論も大きい。オリンピックに対する判断が、政権の浮沈を決めるという可能性も今後は出てくるでしょう。

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内村航平選手 ©️文藝春秋

 これは、55年体制時代からの、政権運営の「いろは」ですが、「重要問題は、ばらして処理する」ことが鉄則です。重要問題に対する決断の時期が重なると、結局、その決断の重みの中で潰れてしまって、何もできないことがよくあるのです。

菅首相(2020年4月、房長官時代)

 今、菅首相が本当にやらなければならないのは、まず大きな重要課題を、一つ一つ切り離して決断していくことです。コロナも、ワクチンも、オリンピックも、衆議院解散も、全部一緒に考えるとしたら、行き詰まってしまう。ここをどう乗り切るかに、今後の政権の行方はかかっているといえるでしょう。