1月27日、天皇皇后両陛下は、昨年7月の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県の4つの市町村と赤坂御所をオンラインでつなぎ、氾濫した球磨(くま)川流域の被災当時の状況と現在の様子を映像でご覧になって、被災者らと画面越しに言葉を交わされた。コロナ禍で、両陛下は昨年から「オンライン行幸啓」に臨まれているが、被災地のお見舞いは初めてだ。
両陛下お揃いでジャケットにタートルネックのトップスを
雅子さまはヘリで救助活動に当たった消防関係者を「何度も出動されて、たくさんの方を救助されたんですね」と声をかけられたという。懇談は予定を大幅に超え、約3時間に及んだ。陛下はノーネクタイ、両陛下お揃いでジャケットにタートルネックのトップスという出で立ちだった。雅子さまはパンツスーツをお召しだったのではないだろうか。
これは、両陛下の“被災地訪問”スタイルで、2019年12月に台風第19号などによる被災地お見舞いのため、宮城県と福島県を訪問された時と、お二人ともほぼ同様のスーツをお召しだった。福島県本宮市の保健福祉施設「えぽか」で、ボランティアに参加したという高校生が、両陛下からボランティアについて「素晴らしいですね」と声をかけられて、「自分だけではなく参加した生徒みんなに向けられた言葉のように感じられて、とてもうれしかったです」と話していたことを思い出す。
昨年は17年ぶりに「歌会始の儀」に出席された雅子さま
そして雅子さまは昨年、2003年以来17年ぶりに「歌会始の儀」出席され、「望」というお題で「災ひより立ち上がらむとする人に若きらの力希望もたらす」という御歌を詠まれた。被災地を訪れられた際に、各地で若い人たちがボランティアとして後片付けや復旧の手伝いを献身的に行い、人々に復興の希望と勇気を与えていることを頼もしくお思いになり、詠まれた歌だという。
新型コロナウイルスの感染急拡大で、東京都や大阪府など11都府県に緊急事態宣言が再発令されるなか、宮内庁は新年恒例の「講書始の儀」と「歌会始の儀」を3月中に行うことを目指して延期した。今年の「歌会始の儀」のお題は「実(じつ)」だった。