ミャンマー人がデモの場に国連大学を選んだ理由
およそ50年に渡る軍政にいったん終止符が打たれたのは2011年のことだ。アウンサンスーチー氏もその前年に長い自宅軟禁を解かれ、政治活動を再開させた。2015年には民政移管後初の総選挙が行われ、アウンサンスーチー氏率いるNLD(国民民主連盟)が圧勝。翌年、悲願ともいえる民主政府が実現した。
その背景には世界の急速なグローバル化や国際社会の圧力があったと考えられている。これ以上、国際社会から孤立し続けると、経済的にも民心も、国が持たないところまで来ていたのだ。そのため軍は影響力を保持しつつ、民主化へ舵を切った。
だからこそ今回のクーデターに対しても、ミャンマー人たちは「国際社会に訴える」ことを強く意識している。東京で行われた1日のデモの場に、国連大学を選んだのはそのためだ。とりわけ在日ミャンマー人たちは日本に親しみを持っており、日本政府がミャンマー国軍に圧力をかけてくれればという期待は大きい。
日本人に広く知ってほしいミャンマー人、一方の日本人は?
だが、こうした在日ミャンマー人のデモに対して、日本人からは冷めた意見も目立つ。
「ミャンマーの争いを日本に持ち込まないでほしい」
「外国人が日本国内でデモをやるのはおかしい」
といった声がネット上に見られた。政治に対してリアル社会で声を上げるという行為に対する忌避感が、日本人には根強いのかもしれない。
また、
「そもそもコロナ禍で密になってデモを行うべきではない。クラスターになったらどうするのか」
そんな意見も非常に多い。ミャンマー人たちは日本人に広く知ってほしいと熱望してデモを行っているが、理解を得られにくい現実もあるようだ。
確かにコロナは心配だが、彼らはあくまで日本の法律に則り、平和的なデモを繰り広げている。母国を憂う在日ミャンマー人たちの気持ちは、日本政府に届くだろうか。