「女性がたくさん入っていると会議は時間がかかる」――。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が2月3日、JOC(日本オリンピック委員会)臨時評議員会でした発言は、瞬く間に国内外で報道され、「性差別的」と猛批判を受けた。ただでさえ、新型コロナウイルスの流行が収まらない中での東京五輪・パラ開催に暗雲が立ち込めていたが、また一つ悩みの種を抱えることとなった。
首相退任も失言がきっかけだった
これまでも失言続きだった森会長。首相時代の2001年2月、高校生ら9人が死亡したえひめ丸事故では、一報を受けてもゴルフを続けたことを非難されると「私が(官邸に)行かないことで、何が遅れたのか」と開き直った。これも世論の反感を買い、森政権は退陣に追い込まれた。
女性蔑視発言の前日には、自民党本部の会合で、コロナ禍で開催が危ぶまれていることについて「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」と述べたのも、「世論軽視」と炎上した。
3日のJOC臨時評議員会。問題の女性蔑視発言が出たのは、JOCが女性評議員を増やすことについて話し合われているときだった。
「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。だけど女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手を挙げて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね」
参加者からは笑いが起こったという。
「#Moriresign(「森は辞任しろ」)」も拡散
発言はすぐさま国内外で発信され炎上。米紙ワシントンポストは「(森会長が)女性は会議で話が長くて迷惑だと発言」と発信。同じく米紙のニューヨークタイムズも「女性の制限を示唆」、ロイター通信も「東京大会トップの森会長が性差別発言」と伝えるなど、各メディアが森会長が女性を蔑視していると厳しく報じた。
翌4日に、森会長が謝罪会見を開き、発言を撤回しても、ワシントンポスト紙は「『反省』の意を表明したが、時折笑顔も見せていた」と皮肉った。森会長が会長職を辞退するつもりはないと述べたことについて、BBCはSNS上で「#Moriresign(「森は辞任しろ」の意)」というハッシュタグも出回っていると報じた。