昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

俺たちの森喜朗、期待に応えて自ら東京オリンピックを台無しにする

日本における「会議」という名前の儀式の問題

2021/02/04

 オリンピックに「失言」という競技があったら、私たちの森喜朗さんはアメリカの新大統領であり失言製造機(Gaffe Machine)でもあるバイデンさんと金メダルをめぐって日米決戦になると思うんですよね。

「謝罪会見」に臨んだ森喜朗氏 ©️AFLO

衆議院解散を招いた首相時代のビッグな失言

 森喜朗さんと言えば、もう皆さんご存知、2000年から01年まで第85・86代の内閣総理大臣として日本の指導者でありました。森喜朗さんの総理在任の間、国家戦略として策定する「e-Japan構想」についての説明のため官邸に来た総務省の幹部に「君、このイット革命って何だ?」と聞いたという話から、末期には歴代総理はおろか世界の指導者においてもワールドクラスの「内閣支持率8%、不支持率82%」というレジェンド級のレコードを残しています。

 私の大好きな森喜朗さんの失言は何と言っても2000年5月15日の「神の国」発言でありまして、国論を二分する大激論となり、結果として翌月に衆議院解散になってしまうほどのビッグな失言となったわけであります。

 もっとも、この発言はそもそも神道政治連盟で行われたもので、周りへの配慮として森喜朗さん一流のリップサービスをしたのだろうとは思うのですが、全文を客観的にどう読んでも失言なので救いようがなくて本当に好きでした。

「ま、ややもすると政府側、いま私は政府側におるわけでございますが、若干及び腰になることをしっかりと前面に出して、日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をして戴く、その思いでですね、私達が活動して30年になったわけでございます」

「やっぱりやりやがったか」という安堵感

 そんな森喜朗さんが、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長として評議員会で、日本オリンピック委員会(JOC)の女性理事をめぐる女性蔑視とも取れる発言をして大騒動になったのは非常に自然な話であります。

 誰もが「いつかはやるだろうな」と思っていたら「やっぱりやりやがったか」という国民のコンセンサス通りの発言をしたわけでありまして、その発言内容の低俗ぶりに怒りは感じつつも、俺たちの森喜朗は今日も森喜朗であったという水戸黄門が20時40分ごろ印籠を出すような予定調和に安堵するわけであります。ただ、全文を読むと「森喜朗さん、そんな変なことも言ってねえじゃんよ。マスコミの切り取り方次第で悪く読めてしまう典型やね」と思ってしまいます。その脇の甘さこそが、俺たちの森喜朗。